センセーショナルなタイトルを裏切らない軽妙な語り口と充実過ぎる情報量でイタリア・オペラを知り尽くす。歴史・舞台裏・用語から日本人との関わりまで幅広い解説が僕らの常識=思い込みを打ち壊してくれる実に快活な一冊である。筆者のイタリア愛が尋常ではないことが文章からもひしひしと伝わってくるが、それを差し引いてもこの魅力的な世界の虜になること間違いない。よもや〈オペラは交響曲にくらべて格下〉などと思う読者は諸兄にはいないだろうが、改めてイタリア・オペラを感じてもらいたい。本書を読み終えたあと無性にヴェルディを、ベッリーニを、そしてロッシーニを聴きたくなること請け合いだ。