歌手50人の選定基準は、著者自身が今世紀に入ってから国内外の劇場やホールで実際に生の演奏に触れた中からおすすめの歌い手を選んだもの、だそうです。圧倒的なスーパースターパヴァロッティから若干20代のシャビエル・アンドゥアガまで。自身の〈推し〉について徹底的に書き尽くす。個々の歌手に対する解説ではあるのだが全編にあるのは限りなきオペラへの愛情。〈あぁ、早くオペラを聴きに行こう!〉と読み手にも思わせます。〈オペラでの歌唱表現は、アスリートの身体表現に似ている〉で始まる序文もユニークな視点からオペラ歌手論が書かれていて興味深い。