満足なサポートを得られずメジャー・レーベルから離脱するなど、苦境を経ても決してブレることなく完全インディペンデントな活動を続けて熱心なファン・ベースを形成し、かのジェイ・Zをも心酔させたLAはクレンショーのラッパー、ニプシー・ハッスルがついに放った遅すぎるデビュー作。これまで溜めてきた思いをすべてブチ撒けるように猛スピットした“Rap Niggas”、“FDT”でのタッグふたたびとなったYGとの重厚なジョイント“Last Time That I Checc'd”の先行2曲だけでファンにとっては卒倒級だったが、アルバムのほうも同じLAを代表するラッパーであるケンドリック・ラマーを迎えた“Dedication”から、パフ・ダディ、シーロー・グリーンといった意外な面々とのコラボ、マーシャ・アンブロージアスらシンガーとの共演まで実に振り幅は広め。それでいて根底はまったく変わることなく、エモめな楽曲とハードなGシットをバランス良く収録。すでにクラシックの風格漂う最高品質のブツだ。