昭和音大サクソフォン・オーケストラの新譜。マルセル・ミュールに捧げられた《ファンタジア》は、〈カルテット・スピリタス〉のメンバー等をつとめる松原孝政がソロを熱演。ラヴェルの《クープランの墓》では、サックスの時代を超越した音色の柔軟性が十分に発揮されている。《前奏曲》冒頭の機動性や、《リゴードン》でのブリリアントさ、とりわけ、メヌエット中間部のミュゼットの部分では艶やかにビブラートされたアコーディオンのようにも聞こえるし、それは古きよきフランスをも感じさせる。チャイコフスキーでは、総勢100名を超える同族オーケストラならではの迫力でアポテオーズを迎える。