夥しい音楽的情報量を、ハードコア・パンクの文法でポップに鳴らした前作から早4年。数曲分のアイデアを1曲に凝縮する手法は今回も冴え渡り、男女ツイン・ヴォーカルの爽快さに、シンセ・ポップやファンク、バングラにファストコアなどが入り乱れ、前作以上の祝祭感と解放感に溢れている。これは活動休止やメンバー脱退といった苦境を乗り越えた賜物でもあろう。 Wiennersここにあり!

 


新体制になっても勢いは留まることはなく、むしろ増してる感すらある、バンド結成10周年を迎えたWiennersの4作目。例えば仕事や人間関係に疲れ果てて、どこか遠くに旅立ちたくなってしまって勢いで来たアジアのどこかの国で、偶然通りかかったお祭りに参加して、気付いたら日常のイヤなことも全部ぶっ飛んでた、みたいな祝祭感。それもフェスのような馬鹿騒ぎだけでなく、豊穣や万物の生死に対するもっと根幹的な祈りとか踊りとかも含まれるような。日本やアジアのようでいて、異世界のような、近未来のような――(“恋のバングラビート”に引っ張られすぎかなあ)。そんな祝祭感あふれるプチ・トリップを、脳内でまるで嵐のように体験することができるはず。