2000年代のNYインディー・ブームを牽引したギャング・ギャング・ダンスが、7年ぶりとなるニュー・アルバムを携えてシーンに帰還した。タイトルの〈Kazuashita(和明日)〉には〈Peace Tomorrow〉という意味を込めているようで、ハードな世界情勢が反映された作品だ。ドキュメンタリー映画「私はあなたのニグロではない」(2016年)に影響を受けたという“Young Boy(Marika In Amerika)”など、コンシャスなリリックが印象的。一方でプロダクション自体には持ち前の折衷性が発揮されていて、トライバル・ビート、エレクトロ・ポップ、アンビエントといったさまざまな要素を織り交ぜ、甘美な響きを放つものに。それはさながら、この世界に一筋の光を誘う祈りのようである。