確かに《Misty》のエロール・ガーナーは素晴らしい。しかし、ここ数年に発売された未発表音源を聴けばガーナーがただのリラクゼイションに富んだモダンスイングの巨匠ではなく、モダンジャズの時代を代表する表現者だったことが分かる。本作はその事を証明するライヴ未発表音源だ。コンセルト・ヘボウでの演奏は欧州における代表的な場所でのプレイであり、ジャズメンにとっては一流の証しである。1964年11月7日という、ジャズにとって大きな転換点となる年に録音された本作は、ほぼ干されていたと言ってもいいくらい録音が少なかった時期の彼の貴重な音源として十分に楽しめる。