タワーレコードでは、angela『angela ALL TIME BEST 2003-2009』と『angela ALL TIME BEST 2010-2017』のリリースを記念して、フリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉を10月24日(水)に発行! ここではその中面に掲載された、angelaをよく知る3名からのコラムを特別掲載いたします!
※タワーレコードオンラインを除く全店で開店時より配布スタート。ただし、天候や交通事情により入荷が遅れる場合がございます。 ※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。

angela angela ALL TIME BEST 2003-2009 キング アミューズメント クリエイティブ(2018)

angela angela ALL TIME BEST 2010-2017 キング アミューズメント クリエイティブ(2018)

 

エグゼクティブプロデューサー・中西 豪〈angelaという人たち〉

あの日、2002年の初冬。新宿のアルタ前で僕たちは出会った。当時担当していた作品のなかで、色々な意見の違いに対し僕はどう立ち回ればいいのか、自分が何をしたいのか、自分をある意味見失って歩いていた。そこに飛び込んできたメロディー。“butterfly”。路上を自分たちの世界に変え、行きかう人々を立ち止まらせて、一緒の振り付けで皆を躍らせる2人。なんて自由なんだろう……と羨望に近い気持ちで見つめていた。

そして一緒に仕事をしたいと心底思った。2003年デビュー。僕は初めてその作品でプロデューサーと名乗った。仕事として会社から命じられた形でのプロデューサーだったが、その時初めて仕事で〈誰かを守りたい〉と思う気持ちを知った。

彼らもデビュー1年目だったが、僕もプロデューサーとしてはデビュー1年目。一緒に色々なことにチャレンジした。海外での公演。企画もののアルバム作り。そして作品の主題歌。その中で彼らはいつも全力だった。そしていかにファンを楽しませるか……それだけをキラキラ輝いて考えていた。そんな姿を見て、〈あ~、本当に大事だと思う人を守り、一緒に物を作ることは何て幸せなんだろう……〉。そうか僕が見失っていたことはこれなんだ。僕の仕事の原点。彼らが僕に一番大事なことを教えてくれた。

時は流れ15年。赤ちゃんも15年成長すれば立派な人間。昔は15歳は成人だ。彼らはもう自由に自分たちで判断し、自分たちの足で歩いて行ける。形を変えて物理的に一緒にいる時間は昔よりは減ってきた。でも、心の距離は全く変わっていないと本当に思う。彼らは自由だ。最近僕はそう彼らに言っている。でも彼らははじめから自由だったから、訂正。彼らはもっともっと自由だ! 作品に対するとても誠実な姿勢と、自由さ。15年経っても変わらない彼らの魅力。僕はそんな彼らを本当に今でも羨ましく思うし、そして誇りに思う。だからこそ、いつまでも一緒に歩きつづけたい!


担当ディレクター・矢田晶子〈これからのangela〉

「道端に落ちていた種に水を与えてみたら、変な花が咲いた」angelaは自らについてそのように語る。

謙遜のようにも聞こえるが、自らを〈変な花〉と表現できるのは、実は非常に地に足のついた自己分析と客観視によるものだと感じる。デビュー15年。結成から数えると実に25年。そこには計り知れない苦楽と経験が積み重なっていて、現在の〈変な花・angela〉を形成していると思う。

この15年の歩みの中で、音楽的にも様々な成長と変化を遂げたangela。担当していながら何だが、正直この先彼らがどのように化けていくのかさっぱり分からない。恐らく、本人たちもさっぱり分からない(笑)。〈行き当たりばったりだ〉そんな言葉もよく飛び交う。しかし、その〈行き当たりばったり〉を常人だったら単にやり過ごしてしまうだけのところを、きちんと心に届く何かを生み出し、驚きや感動を与えるものに変えていくのがangelaだということ。

トークだけを聞いていると何屋なのか分からないくらい〈おもしろ姉さん&兄さん〉なangelaだが、音楽に対して常に真摯な姿勢を持ち続けているアーティストであることは、楽曲やLIVEに触れていただければきっとお分かりいただけるだろう。なので〈今後の展望は?〉と聞かれれば、〈さあどうでしょう……〉とお答えしつつも、実は色々と考えているのがangelaだ。

人間性も、音楽性も、過去も未来も、一言ではなかなかに形容しがたいし、〈やめて~、もうお腹いっぱいだよ~(笑)〉というほどに、全エネルギーを放出してくるのがangela。しかし、〈もうやめて(笑)〉と思いつつもどこかで待っている自分に気付いた時、あなたはもう立派なぢぇらっ子だ。ようこそ。後戻りはできないはず。(^ω^)

ありふれた〈綺麗な花〉ではなく、常に驚きを提供する〈変な花〉を、これからも一緒に愛でては、育んでいこうではありませんか。きっと、まだまだ溢れるくらいの楽しい時間を共有できることにちがいない!


ライター・成松 哲〈angelaの音楽〉

KATSUさんの言葉を借りるなら〈アニソンはJ-POPよりも8年遅れている〉と言われたゼロ年代、そしてアニソンが一大ムーブメントになったテン年代前半、その爛熟期のただ中にあるテン年代後半。

今回angelaが放つベスト盤2作には、この15年の音楽シーンにおけるアニソンの決起から勝利、繁栄までの歴史が刻まれている。そしてそれはすなわち彼らの闘いの歴史そのものにほかならない。

“明日へのbrilliant road”で華々しくデビューを飾り、その後も“Shangri-La”“Spiral”とサウンドの切っ先を研ぎ澄ますことで当時のJ-ROCKに見事に比肩。さらに“蒼穹”“KINGS”と、〈テン年代のアニソン〉のフォーマットたる楽曲群でシーンを牽引したかと思えば、その後半には自らが構築したそのデザインを美しいまでにあっさりと解体し“シドニア”“騎士行進曲”でこれまで誰も聴いたことのない、しかし紛れもないアニメソングを作り上げてみせる。

angelaがシーンと寝たのか? シーンがangelaと寝たのか? その実態は判然としないが、彼らが15年間、アニソンシーンの王道を歩み続け、しかも革命を起こし続けてきたことはまず間違いないだろう。