スコットランドは99年から議会と政府を持って自治権を拡大してきたが、9月に英国からの分離独立の是非を問う住民投票が行われる。我々は英国人でなく、スコットランド人であるというアイデンティティに音楽などの文化の貢献は非常に大きい。80年代にスコットランド訛りまるだしの歌で高い人気を得た双子デュオ、プロクレイマーズの音楽もそのひとつだ。87年の《レター・フロム・アメリカ》が全英第3位の大ヒットとなり、88年の《アイム・ゴナ・ビー(500マイルズ)》はジョニー・デップ主演映画『妹の恋人』の主題歌にもなったおかげでアメリカでもヒットした。
そんなプロクレイマーズの曲だけを使って物語を紡ぎ、スコットランドを舞台にしたミュージカルが『サンシャイン/歌声が響く街』だ(原題「サンシャイン・オン・リース」も彼らの曲名から)。07年に舞台版が上演されて大ヒット。昨年に英国で待望の映画版が公開され、今夏日本でも公開される。こういった既存のヒット曲を用いた“ジュークボックス・ミュージカル”は近年ますます盛んで、その代表的作品に引っ掛け、本作は「スコットランド版『マンマ・ミーア』」とも呼ばれるが、アバの音楽がスウェーデン産ながら世界の市場に向けたものだったのに対し、本作はスコットランドらしさにこだわる作品となっている。
主人公はアフガニスタンでの軍務を終え、故郷リースに戻ってきた親友同士のアリーとデイヴィ。アリーの恋人は親友の妹リズで、デイヴィは彼女の友人イヴォンヌを紹介される。一方、デイヴィの両親は結婚25周年を祝うが、夫の過去の秘密が明らかになる。
この物語は問題にぶつかり、悩みながらも、いたわり、愛し合う恋人、友人、家族の関係を描き、社会問題には直接触れないが、その背景を知っておいてほしい。配給元は田舎町と書いているが、舞台のリースはスコットランドの首都エディンバラの一地区である。登場する若者たちは首都に住みながらも、従軍したり、転職先を米国に探したり、と将来を街の外に求めている。これはサッチャー時代の英国に生まれた南北の大きな格差の後遺症ゆえである。ただし、同じリースを舞台にした約20年前の小説と映画『トレインスポッティング』での不況に喘ぐ街でドラッグや犯罪に手を染める若者とはまったく異なる。この心温まる映画にある前向きで楽観的な雰囲気は、独立が現実味を持つまでになった現在のスコットランド社会の反映と言えよう。
映画「サンシャイン/歌声が響く街」
英国で熱烈に愛されたミュージカルの映画化!
スコットランド版『マンマ・ミーア!』と大絶賛!!
80年代の名曲にのせて贈る、
涙と喜びに溢れた家族と、彼らを取り巻く人々の感動の物語
監督=デクスター・フレッチャー
音楽=ポール・イングリッシュビー
出演=ピーター・ミュラン/ジェーン・ホロックス/ジョージ・マッケイ他
◎8/1(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!
配給:ギャガGAGA★ (2013年 イギリス 100分)
sunshine.gaga.ne.jp
intoxicate presents
特別試写会
映画『サンシャイン/歌声が響く街』
特別試写会に20組40名様をご招待!
7/18(金) 18:00開場 18:30開映
会場:GAGA本社 新試写室
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