20世紀は電子音楽発展の歴史と言っても過言ではない。数多の電子音楽が開発され、数多の実験的な音楽導入の場があり、そして数多の電子音楽を活用しようとしたアーティストたちがいた。本書はイギリスで電子音楽の書籍や番組を制作するマーク・ブレンドの著作を、明和電機“経理のヲノさん”ことヲノサトルが翻訳した一冊。電子音楽の発展と普及に貢献した人々の軌跡を、特にシンセサイザーが台頭する以前の20世紀初頭から中期にかけてを中心に記されている。前半の初期電子楽器の系譜はなかなか読み応えがあり興味深い。銘打たれている通り「ポップ・カルチャーの電子音楽史」が紐解きやすい一冊だ。