ベルギーへ亡命したトゥアレグ人アナナ・アルーナ率いるグループ、2016年にリリースされた前作ではツェッペリンになぞらえられ、そのサウンドの鋭さを評価されていた。三年ぶり三作目はその尖鋭性に更に磨きがかかっている。とにかく重い、恐らく砂漠のブルース史上最もヘヴィ。更にその音使いも相当ぶっ飛んでいて時にエレクトロに、時にクリムゾン的にトリッキーなギターワークも炸裂するなど、そのヘヴィネス、実験性はユーカンダンツを髣髴させる。砂漠のブルースも最早新興ジャンルではなくなり様々な表現が出てくるのも当然だがこれはそんな中でも群を抜いている、一つの到達点といってよい。

 


アマール808名義で未来型電化マグレブ音楽を提示したことも記憶に新しいチュニジア人プロデューサーの別ユニットによる新作は、〈マグレブの現代版レッド・ツェッペリン〉などと表現したくなる〈砂漠のヘヴィー・ブルース・ロック〉な一枚。トゥアレグ族の伝統音楽をベースにしつつ、全パートが好き放題に暴れ回るハードでサイケなアレンジや、ジャム・バンド的なグルーヴィーでトランシーなリズムは破壊力満点!