あなたはいま、誰かをうらやんだり、誰かに嫉妬したりしていますか?

94年生まれ、大阪出身。作詞作曲編曲、トラックメイク、プログラミング、ミックス、複数の楽器演奏もすべて一人でこなすシンガーソングクリエイター、カムラ ミカウ。エレクトロニカやアンビエントの要素と、ジャパニーズ・ロックやJ-Pop特有のキャッチーなメロディーを融合させた楽曲や、その制作スタイルが話題になり、TV番組やラジオ、CDショップでいち早く紹介されるなど、いま注目のニューカマーだ。

そんな誰もがうらやむような才能を持つ彼が、初の全国流通盤でもある3作目のE.Pに付けたタイトルは〈嫉妬〉〈うらやましさ〉の意味を持つ『ENVY』。着々と成功への道を歩んでいる彼が、いったい誰に、何を嫉妬していると言うのだ。本人を直撃する。

カムラ ミカウ ENVY dodai de doordie? products(2019)

 

何でも一人でやる理由

――個人的には漫画「バジーノイズ」がきっかけでカムラさんのことを知ったのですが、作者のむつき潤先生との関係性までは知らなくて。どのようなご関係なんですか?

※究極のミニマリストである清澄が、承認欲求の強い女の子の潮と出会ったことで人生に変化が訪れる音楽×恋愛漫画。作者のむつき潤がプロデュースするライヴにカムラも出演した

「もともと、むつきさんが音楽関係の裏方やスタッフを取材したいということで、いまマネージャーをやってくださってる方が取材対象だったんです。その取材のなかで、担当アーティストということで僕のライヴにも来てくださったり、名古屋に遠征に行く際には一緒に車に乗って行動したりとか、どんな機材を使ってどんな活動をしているのか、写真を撮って取材しているうちに、僕も取材対象のひとつになったんです」

――主人公の清澄くんのモデルなんでしょうか?

「ライヴ・スタイルのモデルとしては、むつきさんがかなりインスピレーションを受けたみたいですね。ライヴの時は、前にキーボード、左にDJコントローラー、で、ギターを持って歌うというすべて一人でやるスタイルで、漫画のなかの清澄の演奏シーンも〈あ、自分だ〉って思うようなヴィジュアルでした。友達も〈カムラやん〉って言ってましたし」

――キャラクターの直接のモデルではないにしろ、演奏スタイルには影響を与えている。

「スタイルとか、一人でパフォーマンスしているところは着想を得てるみたいですね」

――清澄くんは何でも一人でやって、最低限の生活があればいいタイプですけど、カムラさんもそういうタイプですか?

「そこまでミニマリストではないですけど、結構一人で行動することが多くて、共感するところもあります。〈人と関わって、恩をもらったら返さなあかん(=だから人とはあまり関わりたくない)〉というところなんかは、特に自分と同じこと考えてるなって思います。人とのやり取りがちょっと苦手だから一人を選んでる」

――人と関わりたくない、わけではないけれど……。

「本心では〈ちゃんと人と関わりたい〉って思ってるんですけど、うまくできないのを知ってるから、コミュニケーションを取るために一歩踏み出すのを怠ってるような。一人だと自分だけが動けばいいし、フットワークが軽いんですよね」

――カムラさんはライヴ・スタイルが一人で完結するだけでなく、作詞作曲編曲、トラックメイク、プログラミング、ミックスもして、ジャケまで自分で描いちゃって。そういうスタイルと、ご自身の性格には関係がありますか?

「そうですね。ジャケットも最初のE.Pから自分で作ってるんですけど、他の人に頼むのも気を使うし、デザイン料だって時間だってかかるし、だったら自分で描いた絵をジャケにしちゃおうって思ったんですよね。フットワークの軽さもそうだし、全部自分で管理できて完結できちゃうっていうのが、そういうところに出てると思います」

ファーストE.P『ペトリコールと産声』トレイラー
 

――それってなぜなんでしょう? 自分の思うように行ってほしいとか、完璧主義者だったりとか……。

「おおもとは、人と関わって〈こいつめんどくさいやつやな〉とか思われるのがイヤなんでしょうね。だったらそんなこと思われる前に一人でやってしまおうっていう」

――なるほど。普通はそこで〈でも、あの楽器はできないし、この技術もないし〉って壁にぶつかりそうだけど、一人でできちゃうのはすごいじゃないですか。

「特に絵なんて、専門の方から見たら〈こんなもんか〉って思われると思います。でも〈これが自分の作品だ〉って言い張ったら、それでOKだと思うんです。そうやって理由をつけて納得していくんですよね」

――例えば一人でやってて行き詰まったり、客観的な意見が欲しくなったりしたらどうしますか?

「僕、行き詰まってもそのまま一人で考え込んでしまうクセがあって、誰かに頼ろうっていう考えはまず出て来ないですね。で、ほんまに苦しくなったり、どうしてもの〆切が迫ってきたりした時に、〈実は……〉って言い出すような感じです。自分がしたいことと、しなきゃいけないことが違う時とか――特にそういうのって誰かからの好意とか意識がある時にそうなりやすいんですけど、もう一方が気になってしょうがなくなる。やることがあるのに、LINEを開いて既読マークが付いちゃって、〈いつ返そう、いつ返そう〉って思ってるような」

――ああ、あるある。

「八方美人になりがちで、人から良いイメージでありたい、良く思われたいと意識しすぎなんでしょうね」

――なるほど。作詞作曲編曲、トラックメイク、プログラミング、ミックス全部を一人でやるとなると、〈じゃあ今日はミックスをやる日〉みたいな切り替えをするんですか?

「そこはあんまり境界線がないんですよね。先に音のイメージが降ってきたらトラックメイクを始めて、後から歌うっていうこともあるし、もう歌と音が一緒になったものが頭のなかにあって、一気に録音していっちゃうパターンもあるし、制作ごとによってバラバラですね」

――いろんな楽曲が並行にあるんですか? それとも1つの制作をずっと進める?

「1つの曲をとことんやっていくタイプですね。もしそれに飽きちゃったら、次にその曲に手を付けるのは相当時間がかかります」

――土台を作ってウワモノを乗せて、そこから歌を入れるみたいな決まった作業工程があるわけじゃなく、毎回毎回曲作りの仕方が違うっていうのは、新世代のミュージシャンだなあって思います。

「最近の宅録をやってる人はみんな似たところがあるかもしれないですね、パソコンが自分のできないことをカヴァーしてくれるので。もちろんコミュニケーション力があって、それを最大限に活かして音楽に変えていける人もいるでしょうし、自分にはそれが無かったからこそ〈何でもやっちゃおう〉ってなれたのかもしれないです」

 

三線からギター、そしてDTMへ

――2016年からいまの体制になったそうですが、その前はどうしてたんですか?

「ただただパソコンで音楽を作って、曲を作ってはいるけど発表とかライヴはしていないという期間ですね。それより前、高校生のころは軽音楽部に入ってバンドを組んでいました」

――では、もともと音楽を始めた時は何か楽器から入ったんですか?

「どこから本格的に始めたと言っていいのかは分からないんですけど、親が鹿児島の喜界島出身で、家に三線が置いてあって、小学校3年生くらいの時に気になって触ってみたのが始まりですかね」

――ギターじゃなくて三線ですか!

「そうなんです。その後、BEGINが発明した〈一五一会〉という楽器もあって」

――たしか簡単なチューニングで、指一本でコードが弾ける楽器ですよね。

「そうです。ウクレレとギターの間のような楽器で、三線よりギターっぽくてカッコいいなと思って。その後で本格的にやり始めたのが、中学校1年の時に家の屋根裏でアコースティック・ギターを見つけてからですね」

――楽器がたくさんあって、いいご自宅ですね。

「聞いてみたらウチのおじさんが中学校の時におじいちゃんに買ってもらったけど、まったく弾かずにそのままだったみたいですね。それで、〈弦張り替えてやー〉って頼んで、そこからギターを始めました」

――その時はギターの弾き語りですか?

「最初は指の練習から始めて、コードを覚えたらBUMP OF CHICKENさんとかYUIさんとかの曲を弾き語りしてましたね」

――そこからどうやってオリジナル曲になっていったんですか?

「その頃はノートに歌詞とメロディーを書いた記憶があるくらいで、本格的には作っていなくて、本格的な曲作りはパソコンでDTMを始めてからですね。高校の選択科目のなかに〈DTM研究〉という授業があって、そこが原体験で。軽音楽部の顧問の先生が教えてくれる授業で、使うソフトもフリーソフトのショボいものなんですよ。でもそこでパソコンで曲が作れるというのを初めて知って、調べてみたら中田ヤスタカさんとかヒャダインさんみたいなパソコンで曲を作ってる方がたくさんいらして。高校卒業後にCubaseというソフトを買って、打ち込み音楽にハマっていきました」

――カムラさんが影響を受けたアーティストのなかに、レイ・ハラカミさんとかアイ・アム・ロボット・アンド・プラウドなどが挙がっていて、でもそういう方々の音楽にはいわゆる〈旋律〉って無いですよね。でもカムラさんの楽曲にはメロディーがある。それは、根本にBUMP OF CHICKENみたいな音楽も聴いていたというのがあるんでしょうか?

「そうですね。高校まではバンドものが好きで、歌メロもギターも好きで、そういった要素がもともと自分の中心にあります。そこから勉強のように聴き始めたのがエレクトロニカなんですが、分かりやすい歌メロが入ってるものって少ないですよね。だから自分のなかで、〈歌メロがあるエレクトロニカ〉を作ってみようって思ったんです」

セカンドE.P『chaouen』収録曲“はるたちのぼる”
 

――メロディーもキャッチーだし、さらに歌詞で強い言葉を歌っていたりするのに、バックのエレクトロニカとは喧嘩してないのが特徴的だなと思って。個人的には聴きながら、子供が薬を飲む時の〈おくすり飲めたね〉っていうゼリー飲料を思い浮かべました(笑)。人の嫉妬心とか、毒なのか薬なのかわからないものを歌っているのに、すっと体内に入ってくる。

「(笑)。楽曲を作る時に強く意識はしてないですけど、まず音から出来ることが圧倒的に多くて。で、そのメロディーに歌詞を当てはめながら考えていく。その時に絶対に、メロディーを無視して言葉数を入れることはやりたくなくって。なおかつ1段目と2段目はすんなり聴こえるように同じ韻でまとめたり、いかにキレイに当てはめるかということを考えたりしています。そういうことが、サウンドとメロディーや歌詞が喧嘩せずに、すんなり入って来やすい要因なのかなと思いますね」

――なるほど。変な質問ですけど、エレクトロニカ的なサウンドと、メロディーラインと、歌詞があって、そのなかでどれをいちばん聴かせたいですか? もちろんどれもだとは思いますが。

「自分の個人的な願望としては、いちばん歌詞を感じ取ってほしいんです。でも最初のきっかけは耳から入って、後々歌詞を見ることが多いと思うので、サウンドやメロディーをないがしろにしてるわけではないです。音でしっかり惹きつけた上で、最終的に歌詞で刺したいですね」

誰に、何に嫉妬してるんですか?

――今作『ENVY』は初の全国流通盤で、そのタイトルが〈嫉妬〉〈うらやみ〉という意味のタイトルなのはおもしろいですよね。

「(笑)。僕のなかに〈嫉妬〉というエッセンスがかなり多く含まれているんです。感情の割合をグラフで表したら、半分は嫉妬ですよ」

――誰に、何に嫉妬してるんですか?

「いろんなものに……ですけど、例えば同世代の音楽家であったり、会ったこともない有名人だったり、自分の周囲の友人だったり。やっぱり何でも一人でやって、一人でいることが多いからこそ、誰かが目立っていると実際に会ったこともないのに〈なんやアイツ〉って思うことが多いんですよね。その人は悪くないのに、どこか煮えたぎるものが生まれる時がある。なるべく表には出さないようにしてるんですけど、どこにいても〈自分がいちばんであってほしい〉っていう願望があるんだと思います。その嫉妬心が原動力になって、何か動くきっかけになることも多いですし」

――でも楽曲では、ネガティヴな感情をプラスのものに変換して表現して、ただネガティヴなだけで終わってなかったり、それを聴く人が共感できるものになってたりするのはいいことですよね。僕は最近はそういう感情を原動力にすることも減ってきて(笑)。

「年齢を重ねれば僕もそうなるかもしれないですけど、全然嫉妬心は無くなりませんね。例えば2曲目の“狼”は、周りの人を見ていて〈あ、嫉妬せえへんねんな。みんな優しいな〉と思うことがあって出来た曲です。僕は何不自由なく生きているのに、なんでこんなにドロドロしたものを抱えてるんだろうと思って」

平和のもとに生まれまして 人並みに無事育ちまして
何不自由なく 災いなどなく 在る日をお送りしております

ではこの歪な心の棘はどこから来たのでしょう
やはり私は獣でしょうか
クラ クラ クラ
(“狼”より引用)

「よく物語で狼って最初から悪役として出てくるじゃないですか。イライラばかりしている自分と厄介者の狼が重なったんですよね」

――じゃあこの歌詞はフィクションではないんですね。

「この曲と5曲目の“バルカロール”に関しては、完全に自分の話100%です。他の曲にも多少は自分の話も入ってますけど」

――“バルカロール”には〈ENVY〉ではなく〈ジェラシー〉という単語が出てきますよね。捉え方によっては、自分より売れているアーティストに向けて嫉妬しているようにも取れるなと思って。

「たしかにそれも含まれてはいます。自分と同じことをしていて自分より成功をしている人を見ると、〈なんで自分はこんなんなんや〉って思ってしまうこともあるし。〈ジェラシー/僕はその波の中 指をくわえて/するとほらまた傷が開いていくばかりだ〉っていう歌詞なんて、まさにそうです。でもそれだけで終わるのは救いがないし、自分の曲で誰かが救われればいいというよりかは、自分の曲で自分のドロドロから脱却したくて。そういう願望も含めて、最後に肯定したかったんです」

――なるほど。先ほど〈自分がいちばんであってほしい〉って仰ってましたけど、〈いちばん〉って何ですか? 例えばオリコンの1位なのか、誰かにとっての一番であればいいのか。

「それは売上みたいな数字とは密接に関係してると思います。何かで〈1〉を取ればその時は満足すると思うし。でも元を正せば、自分っていう存在を他の多くの人に認知してほしいという気持ちがあって、もちろん何かのチャートでランクインしただけでも嬉しいですけど、それにだんだん慣れてきたら、次から次へ承認欲求が増えていくだろうし……」

――飽くなき嫉妬心ですね。

「本当そうです。でもたまたま自分のそばにあったのが音楽で、音楽でそういう感情を表現できているのが救いですね。音楽がなかったら、SNSでダラダラ人の愚痴とかを呟いてるだけの人になってたかもしれないですから(笑)。そういう人ってどんどん人が離れていくと思うし。アウトプット先に音楽があってよかったって思います」

――自分より売れている人ということで言えば、例えば店頭で、〈サカナクション好きにオススメ!〉〈米津玄師好きに!〉とか書かれてるのはどう思いますか?

「そこは素直に嬉しいです(笑)。ネームバリューが無ければそもそも聴かれないし、そういうネームバリューのある方々のおかげで聴いてもらえるならありがたいことです。ただ、後々そういった方々も超えて行きたいなとも思いますし、〈カムラ ミカウ好きにオススメ!〉って言われるようになれたらいいなと思います」

 

〈何でも一人でやる〉意識の変化

――“狼”や“バルカロール”が自分の持つ嫉妬心を歌っていたのに対して、“scandal arts”はもっと広く世の中の嫉妬心について歌っているように感じます。

「SNSを見ていて、中心には自分の意見があって、その周りに憤ってる人たちの意見があって。そこには自分も含めたいろんな人間たちの嫉妬心がありますよね。そういうことをテーマにしています」

――いまのSNSではすぐに〈炎上〉とか〈叩く〉とか言いますけど、燃えているものと、燃やしている人と、それを見てる自分がいて、そこに何か独特の気持ち悪さがあって。それに対してズバッとメスを入れた歌詞だなと思いました。

「めちゃめちゃ嬉しいですね。SNSって文字で残って、不特定多数にも見えるから燃え広がるけど、SNSのない時代だったら2~3日で何ともなくなるようなことばかりじゃないですか。〈そこまで言うてやるなよ〉って」

――〈tweet〉とか〈つぶやき〉って言葉が悪いような気もするんです。〈つぶやき〉って文字面だけ見ると独り言みたいですけど、実はみんなが見ていて、しかも後々まで残る。普段独り言をつぶやいてる人に公衆の面前で食って掛かっていったりしないのに。

「〈つぶやきだから何つぶやいてもええやん〉っていうのがありますよね。でも、いまだからそれは言えるけど、もっと若かったら一緒になって炎上に参加してたかもしれないし。もちろん年代の問題でもないですけど、もしかしたら昔の自分に聴かせても響かない曲かもしれないです」

――人間としてひとつ成長した証でもありますね。この曲はサウンド面でも独特で、いろんな楽器が通り過ぎて行きますよね。それが罵詈雑言を言ってる人のようにも聴こえるし。先ほどの“狼”では遠吠えみたいなコーラスも入っていたし、カムラさんの音使いは非常にユニークですよね。

「Bメロで右から左から鳴っていますよね。一人で作ってるから誰にも見られてないし、楽曲はライヴを想定して作ってないし、自由にやっちゃうんです。だからこそ自由な感じはいつも忘れないようにしたいと思っています」

――サウンド面だけでなく、リズム面でもおもしろい工夫がされていて。

「“scandal arts”のリズムはブレイクビーツの手法を用いていて、ドラムスとかシンセサイザーとか、元々ある波形を切っていってパズルみたいに組み合わせてリズムを作るところから始めました。作り方としては初めてのやり方に挑戦しています」

――そして今度、映画の劇伴も担当するということで、活躍の場はどんどん広がっていきますね。

※葛 里華監督作品「テラリウムロッカー」の音楽制作を担当

「今回は自分の音楽性を理解していただいた上でオファーをいただいたんですが、映画音楽を作っていくうちに、もし本格的な映画音楽を作ってくださいって言われたら、例えばヴァイオリンの得意な人を呼ぶとか、アレンジャーを呼ぶとか、一人ではなくいろんな方々と一緒に作っていくこともおもしろそうだなと思うようになりました」

――何でも一人でこなすというところから意識は変わりつつある?

「そうですね。ミュージシャンでも音楽じゃないアーティストの方々でも、〈最初は一人の能力でやれても、結局は誰かと繋がらなやってこられへん〉ってよく話してるのを聞くし、自分もそうなって行くべきだなあってだんだん思うようになってきました。勇気を出して誰かに声をかけてみるのは、音楽的にも自分の人生的にも進歩になるなあって思っています。

元々カムラ ミカウの〈ミカウ〉は、〈Music Is Communication At Underground〉という言葉の頭文字から取っていて、〈コミュニケーションが苦手だからこそ、心のアンダーグラウンドで繋がれていけたらいいな〉と思って作った言葉なんです。だからそれは人生の課題でもあって。音楽を通じて、コミュニケーションの不具合を克服できたらなって思っているんです。

嫉妬という感覚も、もしかしたら万人に共感されるものではないかもしれない。でも、例えばコンプレックスなら誰にもありますよね。自分が誰かより劣っていると思うからこそコンプレックスが生まれるわけだし。そういう自分と似た部分がある人に届いて、何か反応をもらえたら嬉しいですね。あ、こういうこと考えてる人がいるんだって」