渋谷すばるのファースト・アルバム『二歳』のリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉を発行! ここではその中面に掲載されたインタヴューを掲載いたします。別冊TOWER PLUS+は、タワーレコード全店にて10月9日(水)開店時より配布中です! ※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます。

オーセンティックなブルース、ロックンロールに根差した音楽性。ライヴの臨場感をそのまま反映したサウンドメイク。そして、自らの人生、生活、感情を刻み込んだ歌。生きることと音楽がダイレクトに結びついた、圧倒的なポテンシャルを持ったアーティストの〈デビュー〉である。

渋谷すばる 二歳 World art(2019)

渋谷すばるがファースト・アルバム『二歳』をリリースする。先行配信された“ワレワレハニンゲンダ”“アナグラ生活”“ぼくのうた”を含む本作には、彼自身が作詞・作曲・編曲を手がけた12曲を収録。ソングライター、シンガー、バンドマンとしての魅力が生々しく詰まった作品に仕上がっている。

2018年4月に関ジャニ∞の脱退を発表した渋谷は、今年2月に「渋谷すばるです。」と題ししたホームページを開設。「生存確認をお伝えしたい」というメッセージとともに海外を旅する動画を公開した。さらに4月にファンクラブ「Shubabu」の設立、自主レーベル「World art」の発足、そして、待望のソロ・デビューを発表。ホームページに掲載された「自分自身で決めた今後の人生、かけてみたいと思った音楽の世界、楽な事など一つもありませんが、全ての音を楽しみながら、まだまだ恥をかいて生きていきます」という彼自身のメッセージを含め、大きな注目を集めた。

グループ在籍時から積極的にソロ活動を展開してきた渋谷すばる。そのルーツにあるのは、前述した通り、古き良きブルースやロックンロールだ。ギター、ベース、ドラムス、ピアノ、オルガン、ブルースハープといった生楽器の響きを愛する彼の音楽性は、まるで目の前で演奏されているような生々しさ、そして、気の置けないミュージシャン同士が生み出す有機的なアンサンブルを基調としている。その中心にあるのは、彼自身が紡ぎ出す言葉とメロディ。まったく飾ることがない(そして1ミリのウソも混ざっていない)感情をむき出しにしたシンプルで奥深い歌詞、生来のブルーズをたっぷりと宿しながら、繊細な叙情性から爆発的な解放感まで、多彩な表情を映し出す旋律。聴き手の心と身体に直接突き刺さるようなヴォーカルを含め、彼の音楽世界はそのまま本作『二歳』に描き込まれている。

「今の自分に出来る全てを詰め込んだ」という『二歳』は、先行配信第3弾“ぼくのうた”からはじまる。掻き鳴らされるギターのストロークに導かれたこの曲で彼は、「自分にとって音楽とはどんな存在か」「歌うとはどういうことか?」というテーマをこれ以上ないほど率直に歌っている。音楽に憧れ、救われ、音楽と格闘し、葛藤しながら、「歌を歌って生きていく」という決意に至る。そう、“ぼくのうた”は〈ミュージシャン・渋谷すばる〉の宣言なのだと思う。

本作を聴いていて、もっとも強く心を揺さぶられるポイントは、すべての歌に彼自身の人生や性格がリアルに映し出されていることだ。“アナグラ生活”もそう。個性的なギターのアンサンブルが印象的なこの曲で彼は、自分の部屋にこもり、ずっと楽しいことを続けている様子を描いている。誰の目も気にせず、ギターを弾き、歌を歌い、曲を作ったり、録音したり。風呂と睡眠と食事以外はずっと音楽に没頭する。それは彼にとって、まさに理想の生活なのだろう。ちなみに“アナグラ生活”は、アナログテープで録音されたという。〈生楽器〉、〈アナログ〉へのこだわりもまた、ミュージシャンとしての彼の特徴だ。

アルバムの最後に収められた“キミ”にも触れておきたい。ギターの弾き語りによるこの曲は(まるで自室でレコーディングされたかのような雰囲気も印象的だ)、タイトル通り、〈キミ〉に対する思いで埋め尽くされている。ピュアなラヴソングにも聴こえるが、これはおそらく、彼を支えてきたファンに対する思いだろう。グループに在籍していた頃から、とにかくステージを大切にし、オーディエンスと正面から向き合ってきた渋谷。その真摯なスタンスは、ソロとしてして活動するようになってからも、まったく変わらない。“キミ”を聴けば、誰もがそう感じるはずだ。

音楽的なスタイルはもちろん、これまでの軌跡、この先のキャリアに対する決意など、まさに〈いまの渋谷すばる〉がドキュメンタリーのような臨場感とともに反映された『二歳』。アルバムリリース後はおそらく、ライブ活動にも力を入れるはず。ミュージシャンとして新たなスタートを切った彼が、これからどんな歌を響かせてくれるのか、期待を込めて注視したいと思う。


 

※別冊TOWER PLUS+の誌面において記事本文に一部訂正がございます。
誤)2018年4月に関ジャニ∞を脱退した

正)2018年4月に関ジャニ∞の脱退を発表した
訂正してお詫びいたします。TOWER PLUS+編集部