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「男はつらいよ」第50作最新映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開、そして最新技術を駆使した4Kデジタル修復版ブルーレイが新登場!

 50年目で第50作を製作すると聞いた時、大きな期待と一抹の不安を抱いたことも事実だった。渥美清という存在が無き今、どうやって作るのか? 無理やり過去の映像を繋げたコンピレーション仕様になっていたらどうしよう、そんな不安が頭をよぎった。

 しかし、出来上がった映画は、そんな心配は全く不要だった。勝手に心配したことが恥ずかしくなるぐらいに見事なものだった。作品を支えたのは満男だった。そう、長きに渡る「男はつらいよ」シリーズの歴史とは車寅次郎以上に、諏訪満男の人生の歴史だったのだ。

 思い返せば彼の誕生日とは第1作目が公開された1969年8月27日のはず。映画のラストシーンで母さくらの腕に抱かれた生まれたばかりの満男が映し出されていたではないか。ここから我々観客は、ずっと寅次郎、さくら、博と共に彼の成長を見守ることになるのである。

 映画の生みの親である山田洋次監督もシリーズを作り続けることは、満男の成長を描くことになると、おそらく想定してはいなかっただろう。しかし、天才子役吉岡秀隆を得て事態は変わっていく。決定打は渥美さんの体調を考慮して42作目に「ぼくの伯父さん」を作り、満男の初恋と青春を描いたこと。これこそが結果として50作目への出発点になったのだ。