冒頭曲で〈メアリーJ(・ブライジ)になることを望んだアトランティックとはお別れした〉と歌っているように、約2年ぶりの新作はeOneからのリリース。BAM制作の“All The Lovers”がメリー・ジェーン・ガールズ曲を匂わせていても、スケールの大きいクリアな発声のヴォーカルはMJBとは別物だが、より丁寧に歌い込まれた今作でもリル・ロニーの制作曲を中心に、ラストを飾るデイモン・トーマス製のスロウ“The Worst”まで極上のR&Bを聴かせてくれる。同郷メンフィスのジャジー・フェイがニュー・エディション“Can You Stand The Rain”を引用して手掛けた先行シングル“The Rain”が懐かしさを誘う一方、シティ・ガールズらの客演曲でフッド感を打ち出すコントラストにも好感。早くも今年屈指の名作としたい。