水曜日のカンパネラとの〈YAKUSHIMA TREASURE〉やアニメ「映像研には手を出すな!」の劇伴など精力的な活動を続けるオオルタイチ、ウリチパン郡から派生した歌ものユニット〈ゆうき〉を挟んで、本人名義でのリリースは2014年のEP以来6年ぶり。〈LOVES THE ACUSTICO PAZ NOVA BAND〉の発展形 (植野隆や田中馨、トンチなどが今作も参加)での演奏はフィジカル・リリースを望まれたPAZ NOVA路線だっただけに嬉しく、そして何といっても表題曲の美しさたるや、彼がダンス・ミュージックの異端として登場したゼロ年代には決して想像できなかった。

 


昨年の活動20周年ライヴにて集結した総勢8人のバンド編成で送り出す、5曲入りの作品。繊細な手つきで大らかなスケール感を描く新曲“ほとけの”のほか、水曜日のカンパネラに提供した“愛しいものたちへ”や、原曲ではキセルを迎えた“燃えるひみつ”などの自作曲を、ストリングスやピアノ、スティールパンが織り成す優美なアンサンブルで再解釈している。言葉とメロディーの情感を丁寧に汲む歌を主軸に据え、新境地に挑む一枚だ。