調律されたスタインウェイMモデルの88鍵より40番コース第2・第3弦の隙間に、ダンパーから勘定すること1と16分の1インチのところへ金属製スクリューを挿入する。次いで25番コース9インチ半にゴムの塊をこれくらい……。“ソナタとインターリュード”はこんな具合の指示書が添付されて開始される。前衛の巨人ジョン・ケージ。彼らしいシニカルな哲学が非対称の構造で記述される。気が遠くなるほどの準備の後に演奏される響きの何とも深遠たることだろう。高橋悠治の初期を象徴するこの録音は、同時に今日のこの作品の演奏史における一つの金字塔として数えられている。
高橋悠治『ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード、黛敏郎:プリペアド・ピアノと弦楽のための小品<特別収録>(2025年ORTマスタリング)』前衛の巨人による指示が深遠な響きをもたらす金字塔
高橋悠治
『ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード、黛敏郎:プリペアド・ピアノと弦楽のための小品<特別収録>(2025年ORTマスタリング)』