今年3月にENTHとのスプリット作『#ワイタイスカッ』を発表した大阪発の4人組、SPARK!!SOUND!!SHOW!!（通称スサシ）。同作にまつわる予定などはすべて白紙になってしまったが、9月には4曲入りのEP『スサ死 e.p.』を配信して新たなスタートを切った。
「初のコンセプト作なのでまとまりはあると思います。普通に曲を作ってたら、〈死〉が出てくる歌詞が多かったんで、それをテーマにしようと。中二病なんで、そういうイタいやつが好きなんですよ。髑髏、十字架、死、みたいな（笑）」（タナカユーキ）。
「4曲の世界観が似てるんで。ユーキが好きな映画『ミッドサマー』の、キレイやけど気持ち悪い世界観ともリンクするし、ストーリー性もありますからね」（チヨ）。
バンドのエッジーでコアな部分を抽出したそんなEPを経て、このたび完成したのがニュー・シングル“STEAL!!”だ。表題曲は彼ら初のタイアップとなるTVアニメ「アクダマドライブ」のオープニング曲として書き下ろされたもの。彼らは〈製作陣が寛大で、そこに甘えまくった〉と語るが、個人的にはスサシのヤバい音楽がより多くの人の耳に届くことが何より嬉しい。作曲はタクマ、作詞はタナカが手掛けている。
「〈アクダマドライブ〉というワードにインスピレーションを得て、伸び伸びと作れました。もともと“GODSPEED”（2019年作『NU BLACK』収録曲）みたいなノリの曲をやってほしいというオファーで。でも情報量は多いっすよね。タクマが曲を書いて、俺がああだこうだ言ってオケはできました」（タナカ）。
「けっこうストレートやなと思いました。メロディー、コード感もわかりやすいんで、ベースは付けやすかったですね。ラウドでもここまでメロディーのある曲はなかったし、曲の展開もはっきりしてるから、二人がJ-Popのフォーマットの中でスサシらしさを出してくれたんやなって」（チヨ）。
とはいえタナカはそこまでJ-Popは意識していなかったらしく、これまでスサシがやってきたことを総動員した曲調と言えるかもしれない。ラウド、パンク、ヒップホップ、エレクトロなど相変わらずゴッタ煮感溢れる新種のミクスチャーっぷりは健在だ。そのなかで特にこだわったのはメロディーラインだという。
「サビのメロディーはいちばん変わりましたね。主旋律があって、そこにハーモニーを足して、クイーンみたいな雰囲気を採り入れたくて。いままでは同じ主旋律を全員で歌うシンガロングはあったんで、また違うことをやろうと。バックは速くてラウドでピュンピュン鳴っているんで、そこに〈このメロディーで持っていくぜ!〉みたいな気合いがあまり感じられないクールさが気に入ってますね。自分たちが新鮮味のあることをやらんと意味がないから」（タナカ）。
一方、カップリングには『スサ死 e.p.』収録曲の“ゆーれい”をsteiがリミックスした“Yurei（stei remix）”を収録。
「stei君はTohjiとかとやってるDJで、タクマが知り合いやったんです。彼いわく〈00年代のavexのアーティストのシングルに入ってたリミックス〉をイメージしたらしくて、俺は特にそれを感じなかったけど（笑）、ユートピアとディストピアの間を行き来してるみたいなリミックスで、めちゃくちゃアガりました」（タナカ）。
「また違う畑の人にやってもらっておもしろかったし、僕ららしい変わったリミックスで気に入ってます。今回のシングルはCDで聴いてほしいなと思ってますね」（チヨ）。
2021年には〈HAPPY BIRTH DIE〉と題した全国ツアーも控えている彼ら。ただ、コロナ禍の状況を受け、新たなライヴ様式を考えているようだ。
「僕らなりのエンターテイメントを魅せたいですね。まだアイデア段階ですけど、以前とは比べたくても比べられないくらいのものをやろうと」（チヨ）。
スサシならば観る者の度肝を抜くおもしろいことをやってくれるはずだ。今作の楽曲もライヴでどう化けるのか楽しみでならない。
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
タナカユーキ（ヴォーカル／ギター）、チヨ（ベース／コーラス）、イチロー（ドラムス／コーラス）、タクマ（シンセサイザー／ギター）から成る、大阪出身のバンド。タナカユーキとチヨを中心に結成され、フェスやイヴェント出演などを通じて支持を拡大していく。2015年に自主レーベルのSPA!DUPA! Inc.を設立。2016年にイチロー、2017年にタクマがそれぞれ加入して現体制になり、2018年に初のフル・アルバム『火花音楽匯演』、2019年にセカンド・アルバム『NU BLACK』をリリース。今年に入って3月にはENTHとのスプリット盤『#ワイタイスカッ』を発表、9月の配信EP『スサ死 e.p.』も話題を集めるなか、ニュー・シングル“STEAL!!”（SPA!DUPA! Inc.）を11月4日にリリースする。
