名古屋のネオ・メロディック最前線と大阪のサウンドドラッグが音盤上でクラッシュ!! 巷を沸かせる2020年最重要バンド同士の強力なコラボに踊って暴れて騒ぎ散らかせ!!

 ロック・シーンのハミ出し者同士がタッグを組んだ最狂スプリット・アルバム『#ワイタイスカッ』がここに誕生! ネオ・メロディックを掲げてメタリックなリフで攻めまくる名古屋発の3人組・ENTH、パンク~ラウド~レゲエ~ヒップホップ~エレクトロを混ぜ合わせた中毒性の高い音楽性を貫く大阪発の4人組・SPARK!!SOUND!!SHOW!!(通称:スサシ)――人気上昇中の2バンドが密にシンクロした今作は、コラボで制作した表題曲をはじめ、お互いのメンバーをフィーチャーした楽曲、単体での新曲を持ち寄った全5曲入り。身内ノリとメッセージ性の両刀で斬り付ける痛快作に仕上がっている。そんな2組を代表して、今回はENTHのdaipon(ヴォーカル/ベース)とスサシのタナカユーキ(ヴォーカル/ギター)に集まってもらった。

ENTH×SPARK!!SOUND!!SHOW!! #ワイタイスカッ TRUST(2020)

 

気付いたら仲良くなってた

――勢いに乗る2バンドのスプリット作となりますが、周りの反応はいかがですか?

タナカユーキ「去年ENTHと一緒にツアーを回って、その熊本公演のMCで僕が勝手に〈スプリットを出します!〉みたいなことを言ったんですよ。それを受けて〈俺もそう思ってた!〉とdaiponが言ってくれて。なので今回ビックリは薄かったと思います(笑)」

daipon「ENTHのお客さんもスサシが大好きなので、この2バンドのスプリットはマジ熱い!みたいな反応はありましたね。そのツアー中にウチらの“SUKI”という曲で(タナカ)ユーキに客演してもらったんですよ。内心、もっと歌ってほしい曲があるのにと思っていたから」

――そもそも両バンドの出会いというと?

daipon「2014年だから、5年前ですかね」

タナカ「当時ENTHはメロコアみたいな感じやったもんな。そう考えると化けたな。ちゃんとしなくなってから、めっちゃ最高になってきたし。気付いたら仲良くなって、音楽の好みも近いから。『HENT』(2017年)の表題曲を聴いたときに鳥肌が立って。そのツアーの大阪に呼んでくれたんですけど、お互いに好き好きって言い合ってました(笑)」

daipon「スサシはかっこいいなと思ってたし。ENTHではできないサウンドやスタイルですからね」

――いずれのバンドにもミクスチャー/クロスオーヴァー的な色合いがあり、そこは音楽的にも共通点を感じます。

タナカ「最近判明したんですけど、お互いにライザー(RIZEファンの総称)やったんですよ。当時はDragon Ash、山嵐とか流行ってましたからね。RIZEは突き抜けてるし、リフもキャッチーやし、レゲエの要素もある。それはスサシの音楽にもめちゃくちゃ出てると思います。おとんがCharのファンで、おとんにRIZEを教えてもらったんですよ」

daipon「RIZEのデビュー当時の悪ガキっぽい感じとか、ピュアなエネルギーも持ってるところも好きですね」

――今作の表題曲“#ワイタイスカッ”は共作で、作詞作曲のクレジットは〈白虎隊〉になってますが、これは?

タナカ「俺たちが暴走族やったら、そんな名前つけるなって(笑)」

daipon「ダウンタウンが自分たち名義じゃなく、エキセントリック少年ボウイの曲を出すみたいなノリです(笑)」

タナカ「で、白虎隊は英語にしたら、〈WHITE TIGER SQUAD〉になるから。

daipon「それをネイティヴ発音で〈ワイタイスカッ〉とカタカナ語にしたという」

――そういう意味だったんですね。曲作りはどんなふうに進めていったんですか?

タナカ「サム41の“Fat Lip”みたいなノリで行こうと。サム41はメタリカやビースティ・ボーイズも好きだし、あの曲はメンバーみんなでラップしてるじゃないですか。俺らがやったらそういうノリになるんじゃないって。ENTHのリフはかっこいいと思ってるから、それから肉付けしようと。曲自体はすぐにできましたね」

――この曲はライヴ感が爆発してますね。

daipon「リフもかっこいいし、アレンジも大胆ですからね」

タナカ「曲も覚えやすいし、俺も普通に口ずさんでますもん」

daipon「この一曲でシーンを変えるぜ!みたいな力みはないけど、ちょっとそういうエアも出ているという」

 

自分で考えるきっかけに

――そして、ENTH feat.タナカユーキでの“MAXX THE CAT aka lil white tiger”、SPARK!!SOUND!!SHOW!! feat.ダト名義の“あいどんのう”はお互いに一人ずつゲストを迎えた曲です。

daipon「それも“SUKI”がきっかけですね。ユーキに歌ってほしかったから。めっちゃかっこいい曲ができたと思う」

タナカ「スサシのゴジラをテーマにした“かいじゅうのうた”のオマージュが入っているんですけど、それとは別件でdaiponの家の猫がゴジラという名前で、さらにもう一匹飼ってる猫の名前がMAXなんですよ。“ゴジラだけじゃにゃいぞ”の歌詞はうちらの曲とdaiponの猫とかかってて、そのコンセプトもいいなと」

――“MAXX THE CAT aka lil white tiger”のメロディー感はENTHらしさが出てますよね。

daipon「そこもすごく気に入ってます」

タナカ「『トムとジェリー』みたいなドタバタ感がありますね」

――対して、“あいどんのう”はレゲエ風の曲調ですね。

タナカ「ライヴでやるのがおもしろそうですね。daiponには気怠い感じで歌ってほしくて。この曲はENTHの“HANGOVER”から〈なーんにもわかりません〉のフレーズを入れてて、そこから膨らませた曲なんですよ」

daipon「ENTHだってわかりやすいし、この曲はやってて気持ち良かったですね」

――それぞれ単独での新曲となるENTHの“BLESS”とスサシの“NU ERA”は、どちらの詞にも〈未来〉という言葉が入って、メッセージ性が強くなっていますね。

daipon「いまは世の中的によくわからない縛りが多い気がして。ライヴハウスの中にも縛りがめちゃくちゃあるし、俺たちから言えることはこういうことだよって」

――“BLESS”の〈俺たちの時代に進もう〉という歌詞にはどんな思いが?

daipon「俺たちに着いてこいよっていうより、同じ時代に同じ気持ちになっている奴らがいるなら、一緒に楽しもうぜ!って」

――“NU ERA”には〈Destroy the System〉という歌詞もありますが、破壊したいものとは何ですか?

タナカ「SNSで数字を持っている人が発信すると、まだ自分の考えを持てない子らは信じちゃうと思うんですよ。その連鎖の構造は破壊しなくちゃいけないなと。ライヴハウスの中でこれはダメみたいなルールもなくなったほうがいいと思うし、好きに行きましょうと」

daipon「いまは議論するだけでアウトみたいな風潮も感じるし、僕たちがやりたいのは民主主義の再構築です(笑)」

タナカ「めっちゃかっこいい(笑)。疑うことは絶対大事っすよね」

daipon「何で?って考えるほうがより豊かに生きられると思うんですよ」

――何でもそうですが、間違えて、ハミ出して、気付くことも多いですよね。

daipon「そうなんですよ! みんなが間違えても受け入れる社会じゃないと」

タナカ「どこかの国では自分も迷惑をかけることがあるんだから、人に迷惑をかけられても許してあげましょう、という考え方で」

daipon「絶対にそのほうがいい。自分でいろいろと考えてみなよって。今作がそのきっかけになったらいいですね」

 

ENTHの作品を一部紹介。

 

SPARK!!SOUND!!SHOW!!の作品。