赤裸々に実体験と思いを綴った歌詞と、感情的なライブ・パフォーマンスがSNSやライブハウスを中心に多くの若者から支持を集めるThis is LASTが、渾身のファースト・フル・アルバムをリリース! 作詞、作曲を担当している菊池陽報(ヴォーカル、ギター)からコメントが到着!

This is LAST 『別に、どうでもいい、知らない』 蔵前レコーズ(2020)

千葉県柏市発、3ピース・ロックバンド「This is LAST」で、ヴォーカル&ギター、作詞、作曲をしています。菊池陽報です。このフル・アルバムは僕ら3人にとって、高校生の頃から妄想を膨らませていたほどの夢の1つであり、その夢を全国流通盤で叶えることができたことを心から嬉しく思います。

この記事では、このアルバムについて作者である僕の視点から書こうと思います。

 

まず、このアルバムは全10曲入りで、今まで出したミニ・アルバムに収録されていた、この曲を知らなきゃLASTは語れない曲“愛憎”“殺文句”、ライブ定番曲で泣けるド直球バラード“終電”、熱いバンドサウンドに胸打たれる“ディアマイ”のほか、サウンドやメロディー、どこを取ってもまさに今現在のThis is LASTが濃厚に凝縮された新曲6曲が収録されています。

この新曲達、書き始めたのはたしか去年の10月頃、肌寒くて家族のイッヌとぬくぬく暖め合いながら書いたのを覚えています(笑)。よし! 書くぞ!!!と気合いを入れたはいいものの、全く書けない……。書いては消して、書いては消してを繰り返す内に、段々病んでくる(笑)。きっと表現する人には当たり前にあることなんですが、そのときの僕はそれがわからなくなっていた。

「自分という人間はそんなもんだったのか」

なんてグルグルと考え出して、まるで思い通りにならないことに駄々をこねる子どものような自分と、冷静に、平静に頑張ろうとする自分。6:4で駄々こねさんが優勢にたった頃、タイミングの悪い事に不運は重なる。

その日はバンドの練習の日だったが、遅刻。さらに大事な機材を落として壊し、帰り道、何気無く視界に入った車のナンバーが不吉な数字だった。

「あ。終わったな」って思った(笑)。

 

その夜、いつものように自分との格闘が始まり、書きかけの曲に手を出した時、ふと思った。

「今日あったこと、今の自分をそのまま書いたら?」

この疑問がのちの〈菊池無双〉につながるとはこの時、誰も予想していなかった。僕しかいないけど(笑)。ものは試しに書いてみる。走り書きはこう。

「今日の朝、寝坊して怒られて、大切な機材は落として壊れた。視界に入った車のナンバーが不吉だった」

なんとも不幸(笑)! でも出るメロディーはなぜか明るくて、楽しくて、情緒不安定の極み。なのにどこかとても気に入った。

ここからは早かった。そう。〈菊池無双〉である。出てくるのなんの。書きたいことが多すぎてどうやって曲に収めようかと悩むほどだった。

書いていく中で気付いた。思い返せば今まで、音楽家になる。と決めた日から、何かしら壁にぶつかって悩み続けているし、病み続けてきたなぁと。

その曲が今回のアルバムの最後、“病んでるくらいがちょうどいいね”という曲。

詞だけ見れば、夏の心霊特番、独特な声でお決まりの〈お気づきだろうか……〉と言いたくなるほど暗いし、卑屈(笑)。でも聴けばあら不思議明るい!!!

でも、正解なんです。

僕が言いたかったことはまさにそういうこと。きっと誰しも悩んでる。でも笑える。楽しい、嬉しい、愛しい。そう思える幸せも必ず側にある。そんな曲なんです。

 

無双状態に入ってからは、鬼神の如き集中力によりたくさん書きましたが、実はこのアルバム、収録曲のほとんどを失恋について書いています。それもそのはず、お付き合いさせていただいた女性全員に浮気されてますから。もうここまでくるとバカですね(笑)。

でもこのアルバムを聴いてくださったあなたに。伝えたいことはたくさんあるけど、その中から1つ。

悲しいことや、別れは表面上、受け止めるだけで精一杯だけど、必ずそれには裏があります。

例えば僕にとって最愛の人との別れをゴールにするならば確かにバッドエンドだけど、今、僕のゴールはまだまだ先にあると思っています。最愛との別れを経験した僕だからこそ、今背中を支えてくれるあなたと出会えた。そして一緒に音楽ができている。そんな風に愛しく思っています。だから僕の過去になんて共感して欲しくない、幸せでいてほしい。

でももし、このアルバムが僕と同じような思いをしている人の背中を、回り回って支えることができるなら、存分に使ってやってください。

長々と書いた言葉、読んでくださりありがとうございました。