バーミンガム市響を率いるミルガ・グラジニーテ=ティーラの実妹でピアニスト、オヌテ・グラジーニテ(1996年生まれ!)が紡ぐペルトの世界。終曲ではイノセントな歌声さえ聴かせる。オケと協奏する“ラメンターテ”はカプーアの巨大アート「マルシュアス」に触発された全10曲の大作。フィジカルで畏怖の念すら与える冒頭2曲の後は痛切と哀切が紡がれていく。内閉の美での感覚的冴えは当盤に通貫するものだ。併録作品が実に魅力的。70年代に書かれた“アリーナのために”“フラトレス”など4作は、もはやペルトの古典といった感がある。ピアノ独奏で聴く“パリ・インテルヴァロ(断続する平行)”が味わい深い。