イェスタデイズ・ニュー・クインテット、そして『シェイズ・オブ・ブルー』でサンプリングに留まらないジャズとヒップホップの蜜月を提示してきたマッドリブ、そして第一線で活躍するドラマーでありながらコモン、J ディラのプロダクションを担ってきたプロデューサーとしてもレジェンダリーなカリーム・リギンス。ヒップホップ×ジャズの超重要人物2名によるユニットによるアルバム、ATCQを思わせる色使いが“そういう”音を思わせながら、ド級のスピリチュアルジャズが繰り広げられいい意味で予想を裏切られつつ、ロウなミニマリズムが効いている辺りやはり一筋縄ではいかない、流石としか。

 


マッドリブがプロデュースし、ドラムスをカリーム・リギンスが担当するプロジェクトの初作。〈Medicine Show〉シリーズの2010年作にも同名ユニットが登場していたが趣は異なっており、ビート感と音のパッチワークにヒップホップ色も聴き取れる音像は、スピリチュアルというよりエクスペリメンタルなジャズだ。精神世界に沈むのではなく、ドープな空想世界を次々繰り広げるような、マッドリブのジャズ観が全開の13曲。