74年から続くウラジーミル・フェドセーエフ(1932年生まれ)とチャイコフスキー交響楽団(旧称モスクワ放送交響楽団)のコンビは現在の世界の主要オーケストラでは最長寿だろう。ソ連時代より度々来日し本プログラムもとよりアンコールに至るまで語り草となる名演奏を繰り広げてきた。そんな彼らが十八番中の十八番、チャイコフスキーの《悲愴》を新たに録音。持ち味の腹にズドンとくる音楽運びの一方、ほの暗い弱音のささやきに鳥肌が立つ。表現の引き出し、音色のパレットが豊かで文字通り光彩陸離といえるサウンド。ルーティンに陥らない真剣勝負の内容は強い説得力を持つ。