清水和音は弱冠20歳で1981年ロン=ティボー国際音楽コンクールピアノ部門第1位に輝き、約40年にわたり楽壇の第一線でコンサートやレコーディングを続けるピアニスト。90年代にはFMのクラシック音楽リクエスト番組にレギュラー出演、ざっくばらんな話しぶりが注目を集めた。近年は室内楽や後進の育成に取り組んでいる。本書は音楽評論家の青澤隆明が聞き手をつとめ、清水和音が人生を振り返りながらピアニストとしての葛藤や面白さを縦横無尽に語ったもの。随所に辛口のユーモアが入る話術は健在ですらすら読める。アシュケナージに対する思いの深さ、共演時の挿話が興味深かった。