11年ぶりの新作が印象づけるのは、シカゴのオルタナ・クイーンの帰還。00年代前半はそんなレッテルから逃れるように持ち前のメロディーセンスを活かす方法としてポップなプロダクションを求めたが、今作ではオルタナ・クイーンと称されるきっかけになった初作『Exile In Guyville』(93年)などマタドール時代の3枚を手掛けたプロデューサー、ブラッド・ウッドと23年ぶりに組んだことからも、彼女が原点に立ち返ろうとしていることは窺える。80sニューウェイヴ、ヒップホップ、ジャズにもアプローチしながら、一周回ったインディー・ロックに追いつき、現役感をアピールする全11曲。しかし、その軸にあるのは、ぶっきらぼうにギターを搔き鳴らす90年代的なローファイ・オルタナ・ロックだ。