
〈アイドルの人生〉を描いた前作に続く待望のアルバムは、〈女性としての人生〉を各人が表現した『THE LIFE OF GIRLS』。その内側をメンバー・塩見きらのセルフ・ライナーノーツで紹介しよう
原宿発5人組アイドル・ユニット。神宿として5枚目となるフル・アルバム『THE LIFE OF GIRLS』は、前作『THE LIFE OF IDOL』に続き、自分たちの内面性を表すと同時に、女性としての自分や、世の中との繋がりについて深く考え、この時代を生きる女性を表現し、完成した作品。「あなたにとって、アイドルとは一体なんですか」。これは、私がインタヴューなどで、何度も聞かれた言葉である。そして、自分自身にもよく問う。正解はわからない。でも、私にとってアイドルとは、夢であり、この世に必要な希望である。女性として生きる私が、アイドルという肩書きを持って生きているいま、〈GIRLS〉に閉じ込められた〈IDOL〉について、改めて考える。

1. Intro:Attitude
羽島めいによるグループ初のソロ曲。彼女の初めてのソロ曲は、自分軸での、過去・現在・未来を表現し、タイトルの〈Attitude〉には、アイドルの〈姿勢〉という意味もこめられている。グループでもラップを担当する彼女。以前、〈アイドルはこうでなければいけない〉という型にハマりたくないと語っていたことをよく覚えている。バッサリと髪を切り、ショートヘアになった今の彼女が考える、アイドルの姿勢とは。
2. Brush!!
女の子って可愛い!――よく聞く耳に残るこのフレーズ。女の子だからいつも可愛くいたい、そんな心の奥の想いを肯定してくれるようなフレーズは、時に自信のない自分を肯定してくれるような気がする。可愛くおしゃれして出かけたい夏の朝、天気の良い空を見つめ、アイスクリームを食べてお昼寝をしたい昼、がんばった自分にご褒美をあげたい夜。女の子ってわがままで、だけどそれって計算されてるんです。
3. 明日、また君に会える
新型コロナウイルスによって、世界中がダメージを受けていた時、同じように神宿もとても苦しい思いをした。自宅から出られず、ファンの方と会えなくなってしまった自粛期間。〈みんなに会いたい〉と、いつかまた会えることを願い希望を込めた楽曲。季節が巡り、あれから一年たったいま、何が変化し、どのくらい状況がよくなっただろう。それでも、また君に会えていることが、何よりも幸せ。
4. MAD GIRL
女性として強く生きたいと願う姿を表現した楽曲。鏡に映る〈私〉と心の中の本当の〈私〉の二面性を、〈あなた〉と〈私〉の2人で表現し、自分を苦しめる自己顕示欲や、自己承認欲求、そして過去から逃れたい私は、いっそあなたを殺してしまいたい。私はあなたを嫌うけど、果たして私はあなたのことを本当に深く理解しているのか。悲痛な叫びはいまも、私の心の中で叫び続けている。
5. 在ルモノシラズ
塩見きらがグループとして初の作詞に挑戦した楽曲。Misumi(DUSTCELL)との共作で、MVは初のアニメーション作品。夕暮れの空を見ると、地元の夕焼けを思い出す。上京して、駅の近くのワンルームに住んでいた私は、踏切の音を聞きながら空を見つめて涙を流していた。いつか、すべてがみずみずしく変わっていますように。いつか、すべてが幸せで溢れていますように。いつか、伝えられますように。
6. Erasor
神宿で初のユニット曲は“Erasor”だった。一ノ瀬みか・小山ひな・塩見きらの3人が歌い上げるバラードは、〈変わりたい私〉をテーマに描かれた。変わりたいと、アイドルのオーディションを受けた。変わるって一体なんなのだろう。変わるためには、何かを捨てなくてはいけない。本当のことなんて、何もわからない。でもね、本当はすべてわかっているの。
7. SISTERS
実の姉妹である羽島みき・めいが、互いを歌詞にし、歌い合ったユニット曲。ASOBOiSMとの共作で、実際に、昔のアルバムを実家から引っ張り出し、生まれてから今まで、ずっと一緒の仲良しな2人を表現したキュートな楽曲。楽屋で、言い合いをしている姉妹、でも帰りの車では、一緒にゲームをして、次の日はゲームセンターでクレーンゲームをしている。それくらいがちょうどいい。
8. Orange Blossom
THREE 1989の上村翔平との共作。上村のロマンチックな世界観を保ちつつ、夢へと駆ける神宿の姿を歌った楽曲。Orange Blossomというお酒を飲んだ。爽やかで、ちょっぴりビターな味わいは、ふわりと吹く風にほんのり寂しさを感じる瞬間を思い出させた。オレンジの花は、実は白色をしている。純白で、何色にも染まらない私たち、これから先もずっと、手を取り合っていこう。
9. Twenty
塩見きら初のソロ曲。グループとして、塩見として、初の作曲に挑戦し、自身が神宿に加入した20歳の頃を思い出しながら描いた楽曲。私は人混みが嫌いだ。人との会話は面倒だからもっと嫌いだ。だから、音の鳴らない壊れているイヤフォンを耳に、ひとり上京した街を歩いていた。空を見上げても、星ひとつ見えず。上を見上げていたら、人とぶつかってしまう。だけど、あの日、空に手を伸ばしたから、いま私はこの文を書いている。
10. LOVE GAME
恋愛なんてしょうもないと思う。愛情というものは天秤で左右にぶら下げた時、釣り合うわけのないものだ。だから人は駆け引きをする。実につまらないゲームだ。この楽曲は、恋愛に対する皮肉を歌っている。好きっていってほしいでしょ? 困らせたいんでしょ? 泣いている私が好きなんでしょ? そんなあなたが大嫌い。
11. Caramel Sweet
キャラメルが夏に溶けていると、甘ったるくて非常に不快だ。でも、口の中で混ざり合う君への想いは、なぜだかほろ苦い。人と人とは、なかなかわかり合えないし、本当の想いなんてなかなかわからないけれど、そんな君と混ざり合ってとろけて一緒になってしまいたい。
12. FANTASTIC GIRL
“明日、また君に会える”のアンサーソング。やっと君に会えた。だからもう離したくない。これは神宿と、舁夫(神宿のファンの名称)の関係性を歌った楽曲。実際に、塩見がファンからもらった言葉を歌詞に使用している。「追いつけない背中が愛おしい」、そんな言葉をもらったけれど、 私はいつでも君の手を取り、共に歩いて行きたいんだよ。
13. を愛に
小山ひな初のソロ曲。女の子の本音を歌詞に詰め込んだ可愛らしい楽曲。好きな誰かを追いかけて、がんばる女の子はいちばん可愛い。女の子はいつだって、少しの変化に気づいてほしいし、でも気づいてほしくないことだってあるの。なんでも君のいう通りにはさせないけれど、でもちょっとだけならいうこと聞いてあげる。だって君が大好きだから。
14. トキメキ☆チュウ
羽島みき初のソロ曲。〈みきみきみきみき君に夢中、あなたも私を好きにな~れ〉という羽島みきの自己紹介と掛けられたタイトル。魔法をかけて可愛くなって、特別な君を独り占めする。だからこれからも私と君だけの秘密。羽島みきの好きなフレーズは、〈生まれ変われるのfour season〉。女の子は、たくさん変化してどんどん可愛く変身していくから。
15. Trouble
一ノ瀬みか・羽島めい・塩見きらの3人でメンバーだけで作り上げた楽曲。一ノ瀬みかは初の作曲に挑戦した。大変な世の中だけど、何も考えずに楽しく身体が揺れてしまうような楽曲を作りたいと話し合いをし、作り上げられた。登場人物は、神宿の5人をイメージ。辛いことがあった時、深夜でも連絡して、いつでも励まし合ってがんばっていこうよ、という明るいメッセージが込められている。
16. Outro:LION
このアルバムを締め括る、一ノ瀬みか初のソロ曲。闇の中で浮かび上がる〈私〉と〈ライオン=獣のような私〉の二面性を歌詞で表現。グループのセンターを務め、7年間先頭に立って走り抜けた彼女に宿る葛藤と孤独、そんななかで寄り添ってくれていたのはいつも音楽だった。オーケストラによる生演奏で収録し、壮大なサウンドで、芯がありながらもどこか儚い歌声は楽曲を通して世界へ響き渡る。
神宿の近作を紹介。
左から、『kamiyado complete best 2018-2019』(CROWN GOLD)、『THE LIFE OF IDOL』(MTRX)