イギリスの現代アーティストであるグレイソン・ペリーによる、誰でもしりたがっているくせにちょっと聞きにくいアートのすべてについて教えましょう、みたいな一冊である。業界を知り尽くした作者が皮肉とユーモアたっぷりに綴る文章は平易な文体で分かり易く面白い。現在のアート業界の構造がよく分かること請け合いである。そんな本書にはもう一つの側面がある。作者が自身の半生を振り返りながらアートとは何か?という問題に自問自答している書であることだ。アートとは何か?の明確な回答はない。ただ、少なくとも作者にとってアート活動とは何であるか?が明確に語られる終幕には是非とも注目されたい。