大阪生まれ、ハイスタ育ちでお馴染みのメロディックパンクバンドDizzy Sunfistが2021年10月27日(水)に3枚目のフルアルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』をリリースする。
3年9か月ぶりのリリースとなる本作には、先行配信曲である“So Beautiful”やGARLICBOYSのPETA、LARRYが参加したコラボ曲“N.i.n.j.a feat PETA&LARRY (GARLICBOYS)”など全12曲が収録される。
1曲1曲にDizzy Sunfistらしい強いメッセージを込めた強度の高い楽曲がパッケージングされた〈名盤〉と言って差し支えのない本作。今回はそんなDizzy Sunfistのふたりにメロディックパンクの魅力、リリースまでの経緯、そして3枚目のフルアルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』についてたっぷりと話を訊いた。
Dizzy Sunfistを虜にしたメロディックパンクの魅力
――Dizzy Sunfistは結成当初、Hi-STANDARDやELLEGARDENなどをコピーしていたようですが、いわゆるメロディックパンクバンドと形容されるアーティストから受けた影響はどんなところにありますか?
あやぺた(ボーカル/ギター)「影響はもう全部に関して受けていますね。音楽観もそうですし、今のツアースタイルもそう。私生活ではファッションまで、本当にすべてにおいて影響は受けてると思います」
――好きになったキッカケは何だったんですか?
あやぺた「ハイスタは(バンドを)卒業したベースのいやまから教えてもらいました。音源だけ聴いていると〈あー、こんな感じの音楽なんやな〉って思っていたんですけど、『AIR JAM 2000』のVHSを借りて観たときに衝撃を受けたというか。そこから本格的に好きになりましたね」
――なるほど。moAiさんはいかがですか?
moAi(ドラムス)「僕は、音楽を好きになった当初はバンドというものを意識していなくて。両親が車の中で流すJ-Popとかが好きだなという感じでした。そこから高校に入学して軽音部に入部するんですが、そこで出会った同級生からメジャー/インディー問わず、〈こういうバンドがいるんだよ〉と教えてもらって。
当時いちばんハマったのがdustboxなんです。疾走感のあるサウンドがめっちゃカッコいいって感じて、当時は何も分からなかったけどメロディックパンクバンドをやってみようってことになったんですよ。そこから好きだったdustboxのルーツを辿っていって、どんどんメロディックパンクを好きになった感じですね」
――おふたりが傾倒したメロディックパンクの魅力ってどういうところにあると思いますか?
あやぺた「んー、やっぱりライブが楽しいことじゃないですかね。音源では伝わらないメロディックパンクの良さってあるじゃないですか! ライブに来てやっと分かる楽しさであったり、熱量の高さみたいなものをいちばん感じることができるのがメロディックパンクなのかなって思っていますね」
moAi「僕は逆に音源、CDを再生して一発で伝わる、ギター・ベース・ドラムのサウンド感が魅力かなって思います。音源を通して〈きっとこの人たちは大人しくないんやろな〉みたいに感じる(笑)。そういうところが好きやなって」
――今回のアルバムを聴かせていただいて、メロディックパンクの良さを僕自身も再確認できました。
あやぺた「ありがとうございます! 光栄です!」
moAi「ありがとうございます!」
コロナ禍がいつになくシリアスな曲を作らせたのかもしれない
――『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』は3年9か月ぶりのフルアルバムということで、久しぶりのリリースとなります。タイトルの〈DIZZYLAND〉っていうのは某テーマパークから?
あやぺた「ディズニーランドからですよ(笑)。ディズニーってみんなが〈楽しむぞ!〉という気持ちで行く場所だし、入った瞬間から世界観が溢れているじゃないですか! それと同じように私たちのライブや作る世界観、ライブハウスの楽しさがこの1枚を通して伝わればいいなって思ってこのタイトルにしました」
――サブタイトルの〈To Infinity & Beyond〉は〈無限の彼方へ〉ということ?
あやぺた「これはmoAiが考えてくれたんですけど、『トイ・ストーリー』の名言ですね」
moAi「サブタイトルがあるのもいいなって思って。『トイ・ストーリー』のキャラクターから名前をとった“Andy”という曲もあるし、ディズニー要素に乗っかるのであれば、この言葉がすごくしっくりくるなって(笑)」
――なるほど。3年9か月の間であやぺたさんの出産やコロナ禍などさまざまな出来事があったと思いますが、それらは新作にどんな影響を与えたと思いますか?
あやぺた「影響かあ~。今回のアルバムはけっこうシリアスな曲が多いですよね、歌詞にしてもサウンドにしても。自分的にはそこまで思い詰めてなかったはずなんですけど、今になって振り返ってみると〈私、思い詰めていたのかも〉って思うくらいシリアスな曲が多くて……。歌詞はコロナ禍や出産があったからこそ書けたものが多いと思うから、影響は受けていたんでしょうね」
moAi「最近、そのことをすごく考えていたんです。僕らは主に僕がギターのリフだったりなんだったりを持って行って、そこに歌を当てはめて作るみたいな作曲方法なんですけど、自分としては最初に持っていくフレーズに哀愁が漂うというか悲しいようなものが多くなっちゃったなっていうのは思っていて。それはおそらくコロナ禍の2年近くの影響かなって。
この2年とその前で何が違うんだろうって考えると、筋トレをしなくなったことなんですよね。コロナ禍になってから体を動かす習慣がなくなってしまって、そのことがメンタルの変化に繋がったなと最近自分の中で答えが出たんですよね。あやぺたもさっき言っていたけど、意識してなかった部分で実はメンタルをやられていたという状況がそういう曲を作らせたのかなって」
――今回の制作はコロナ禍、真っ只中の作業だった?
moAi「そうですね、本当に2020年のコロナになってからですね。4月、5月以降から始まった」
――コロナ禍での制作で大変だったことはありましたか?
あやぺた「私は、他のバンドのライブが観れなかったことですかね。けっこういろんなバンドのライブからインスピレーションを受けて曲を作ったりすることが多いんですけど、今回はコロナ禍でライブも全然ないし、対バンもなかったし、ワンマンツアーばっかりだったし、他のバンドを観る機会がぜんぜんなくて、そこがいちばん辛かった……」
moAi「何が大変だったかと訊かれると分からないかもな。毎回しんどいんですよ……。もちろん楽しいひとコマもあったりはしたんですけど、何が原因でしんどかったのかは分からないかもしれない。久しぶりのフルアルバムの制作ということで、すごくプレッシャーを感じていたのかもしれないですね」
――自分でも気づいてないところでメンタルが落ち込んでいっている感じ。
moAi「そうですね。本ちゃんのレコーディングが始まる前は、特に何とも思っていなかったんですけど、いざレコーディングが始まるとすごく過酷でしたね。大阪のスタジオで録音していたんですけど、だいたい昼の12時くらいにスタジオに入って、ほぼ10時間近く缶詰で22時くらいに終わって、そこから歩いてホテルに帰るという生活をほぼ1か月やっていて。それがいちばん大変だったかな。制作の部分ではそんなに大変って思ってなかったけど、メンタルを保ちつついい音楽を作るというのがすごく辛かったです」