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ももいろクローバーZ『MOMOIRO CLOVER Z』 真価を磨き上げた〈The Diamond Four〉が送る初のセルフ・タイトル作

ももいろクローバーZ『MOMOIRO CLOVER Z』 真価を磨き上げた〈The Diamond Four〉が送る初のセルフ・タイトル作

新しい青空の、その先へ向かって――新体制で走り出してから1年、堂々たる進化と真価を磨き上げたThe Diamond Fourが初のセルフ・タイトル作をついに完成!!!!

4人のソリッドな決意

 大きな別れで始まった2018年のももいろクローバーZではあったが、結果的にはそれすらバネにして歩み続けることを選んだ4人のポジティヴな姿が鮮明な印象を残す一年だったと言えるのではないだろうか。振り返ってみれば、3月からは足掛け2年に渡る47都道府県ツアー〈ももいろクローバーZ ジャパンツアー「青春」〉を継続し、並行して4月には布引グリーンスタジアムで〈春の一大事2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~〉を開催。夏にはZOZOマリンスタジアムで〈MomocloMania2018 -Road to 2020-〉を敢行し、先述の〈ジャパンツアー「青春」〉を12月にコンプリートするや毎年恒例の〈ももいろクリスマス〉をさいたまスーパーアリーナで開催、大晦日の「ももいろ歌合戦」に至るまで、濃厚な日々を4人は懸命に駆け抜けてきた。

 なかでも特別な節目となったのは、5月に東京ドームで開催された結成10周年記念ライヴ〈ももいろクローバーZ 10th Anniversary The Diamond Four -in 桃響導夢-〉だろう。初の東京ドーム進出(しかも2デイズ!)という圧倒的なスケールはもちろん、〈The Diamond Four〉という言葉に集約された4人体制としてのソリッドな決意は、十年一昔の過去を更新していく新たなスタートに相応しい決意表明となったに違いない。そんな節目からまた1年――11周年の記念日にあたる5月17日にリリースされるのがニュー・アルバム『MOMOIRO CLOVER Z』だ。

ももいろクローバーZ MOMOIRO CLOVER Z EVIL LINE(2019)

 

先行曲が示す振り幅

 新体制での新曲という意味では昨年4月のシングル“笑一笑 ~シャオイーシャオ!~”のほか、その後のベスト・アルバム『MOMOIRO CLOVER Z BEST ALBUM「桃も十、番茶も出花」』に収められた“クローバーとダイヤモンド”もあったものの、オリジナル・アルバムとしては2016年に2枚同発された『AMARANTHUS』『白金の夜明け』から3年ぶり。これが初のセルフ・タイトル作という点にも〈心機一転〉感は顕著だが、昨年8月から12月にかけてアルバム収録曲を毎月1曲ずつ先行配信/MV公開していく新たな試みも大きな前煽りとなった。

 まず昨年8月に配信されたキックオフの“Re:Story”は、意外にもミッドテンポで穏やかな憩いのムードを表現したナンバー。リラクシンな歌世界を描いたのは、近年のももクロ作品に欠かせないブレーンにして最近は「ヒプノシスマイク」楽曲でもお馴染みのinvisible mannersだ。そこから一転して威勢のいいパンク・ナンバーでブッ飛ばすのが、9月配信の“あんた飛ばしすぎ!!”。これはGARLICBOYSの人気曲をオリジナル詞でリメイクしたもので、編曲や演奏も彼らに委ねている。また、初顔合わせの志磨遼平(ドレスコーズ)が詞曲を、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が編曲を担った“天国のでたらめ”は、大胆な曲調の変化も絡めつつ輪廻転生を歌う神秘的な美曲で、彼女らの主演ミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」の挿入歌としても使用された。

 さらに前田たかひろが作詞、小澤達紀が作曲した11月配信の“GODSPEED”はIntegral Cloverの爽快なアレンジもハマった曇りのないアップ・ナンバー。受け手の気持ちとも伴走するストレートな応援ソングが新鮮だった。そして〈自由気ままな旅〉をテーマに高橋久美子が作詞した12月配信の“Sweet Wanderer”は、こちらもinvisible mannersが作編曲(とラップ部分の作詞)を担当。ゆったりした休日モードのサウンドに乗せて4人の自然体な歌を響かせ……と、ここまでの5曲だけでも相当な振り幅だが、それ以外の楽曲もアルバム・トータルなヴァラエティーの振幅をより大きくするものだ。連日のMV公開によって徐々に明かされてきたその全体像はさらに凄いことになっている。

 

このショウを楽しもう

 まず、幕開けを賑々しくブチ上げるのは、その名も“ロードショー”。楽曲を手掛けたのは“トリック・オア・ドリーム”(2017年)以来の絡みとなる月蝕會議で、2アンリミテッド“Twilight Zone”(92年)をサンプリングしたジュリアナ系ユーロ・ハウスに乗せて紳士淑女をアルバムの世界へ招待する勇ましいイントロダクションだ。それに続く“The Diamond Four”は、まさに現在の4人の姿をタイトなラップで表明していくリード曲。invisible mannersらしい古今のヒップホップ様式を踏まえたカラフルで小気味良いループ構築も冴えている。

 それらがポップなももクロらしさを示すものだとしたら、馴染みの岩里祐穂が作詞、横山克が作編曲した“魂のたべもの”はディープな方向への新境地だ。ブルガリアで録音したというクワイアと弦楽隊を従えた壮大な仕上がりはいままでにない重厚なスケールを備えている。さらにChica、Amon Hayashi、Dirty Orangeという初顔合わせの作家陣による“リバイバル”はオリエンタルなEDM仕立てのナンバー。初顔合わせという意味では、CHAIを起用したル・ティグレ調の“MORE WE DO!”、いかにもGLIM SPANKYらしい骨太なリフを備えたロック・ナンバー“レディ・メイ”も作中のフックになるだろう。

 そんなアルバム本編のラストを穏やかに飾るのは、オーストラリアのシンガー・ソングライターであるレンカのカヴァー“The Show”。2008年に発表された原曲は彼女のソロ・デビュー・シングルで、〈流れに身を任せてショウ(=人生)を楽しもう〉というシンプルなメッセージはアルバム全体のテーマとして真摯に伝わってくるはずだ。

 なお、ボーナス・トラック扱いとなる締め括りの“ももクロの令和ニッポン万歳!”は、彼女たちのファースト・アルバム『バトル アンド ロマンス』(2011年)に収録されていた“ももクロのニッポン万歳!”を前山田健一みずからリメイクしたもの(被災した東北地方を鼓舞する内容だったオリジナルに対して今回は……)。そんな終幕も、10年での一巡りを経たこの『MOMOIRO CLOVER Z』の備えた〈心機一転〉ムードを強く印象づける。

 

歳月の意味

 お楽しみはアルバム本編以外にももちろんあって、初回限定盤Aに同梱されるライヴBDには先述の〈ジャパンツアー「青春」〉から中野サンプラザ公演の模様を収録。一方、CD2枚組となる初回限定盤BのDisc-2には過去の名曲をセルフ・リメイクした10曲が収められている。代表曲“行くぜっ!怪盗少女”と“Z伝説 ~終わりなき革命~”の新装ヴァージョンは先述したベスト(の〈初回限定 -モノノフパック-〉)で音源化されていたもので、“走れ! -ZZ ver.-”も昨年CMソングとして使用されていたが、今回はその趣向をアルバム・サイズに拡張した格好だ。

 鈴木Daichi秀行によるmihimaru GTの名カヴァー“ツヨクツヨク”やツキダタダシ製の“オレンジノート”など、無印時代の名曲をオリジナルと同じアレンジャーがアップデートしたものもあれば、NARASAKIによる“全力少女”のように編曲者を変えてのリニューアルもあり。とりわけクイーン“Bohemian Rhapsody”のオマージュに深いメッセージを忍ばせた人気曲“DNA狂詩曲”は格段に向上した4人の歌唱力とR・O・Nのリアレンジによって真摯な疾走感を増した最高の出来だし、歌詞に描かれた心情が現実を投影してドラマティックな響きを増した“『Z』の誓い”も恐ろしく胸に迫る。その意味では、前山田健一が詞曲を大幅に書き改めつつ(編曲はtatsuo)ユーモアも交えて感動的に仕上げられた“Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~”もやはり最高と言うほかない。

 こうした複合的な作りから伝わるのは、積み重ねてきた10年という歳月の意味と、〈The Diamond Four〉として駆け出した1年の確かな手応え。その現在進行形の集大成が『MOMOIRO CLOVER Z』というタイトルに相応しい仕上がりになっているのは言うまでもないだろう。

40周年 プレイリスト
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