〈ゆく河の流れは絶えずして/しかももとの水にあらず〉鎌倉時代、晩年の鴨長明が質素な小屋で書き上げた「方丈記」。日本三大随筆の一つでありながら原稿用紙にすればたった二十五枚ほどの、日本最古の災害文学。一方丈=四畳半~六畳くらいの広さらしく〈元祖四畳半神話大系…?〉と思ったけれど、その内容はとても切実で本質的。都で次々と起こる自然災害、飢饉、人災。生きづらい世の中で自分にとって本当に必要なものは何なのか。家をすて、執着をすて、家族とすら縁を切って、ストイックに心の居場所を探し求めた鴨長明の頭のなかをぜひこの漫画で覗いてみてください。巻末の原文・解説も参考になります。