デビュー作 『The Restraint Of Beasts』(日本語題名:フェンス)をトマス・ピンチョンに激賞されたマグナル・ミルズの2017年の作品の翻訳。「月曜の夜、パブの小部屋に3枚のレコード盤を持ち寄り、厳格なルールのもとにただ黙って聴く──ストイックな倶楽部」を舞台にした不条理な現代寓話。ポップな物語と文体は、小説ファンはもちろんだが、作品中に無数に散りばめられた、20世紀のポップスの記号たち──曲名、アルバムのタイトル……──が音楽ファンのマニア心をくすぐる。柴田元幸の読みやすく見事な翻訳と訳注、ブックガイドも秀悦。作者本人によるプレイリストもSpotifyで公開しているとのこと。