このタイトルの〈キセキ〉がなぜカタカナなのか、ほとんどの方が気づいていると思う。日本におけるタワーレコードの〈軌跡〉と〈奇跡〉がこの本にはまとめられている。圧巻なのは、北海道は苫小牧店から那覇リウボウ店まですべての店舗に赴き、取材をしている点だろう。各店舗の店長に話を聞き、その特色や方針を読んでいくとそこを訪れてみたくなるはずだ。また黎明期からのスタッフにインタヴューをし、軌跡と奇跡を解き明かして行く。これを小説にしたらと思うのは私だけではあるまい。著者自身も音楽制作業界に身をおいて、時代とともに移り変わる空気を感じていたからこそのインタヴューは秀逸である。