一昨年春のEP『くのいち』収録の“よってらっしゃい”が大きな反響を呼んだ、大阪は岸和田の女性ディージェイ775(ななこ)が、満を持してファースト・フル・アルバムを発表。〈ジャパレゲ新世代〉とも称されながら、アルバムは時流に流されぬスタイルで〈興味がないわブームなんかは〉のラインを地で行く。手遊び歌などを取り入れても殊更に奇を衒ったようには見えず、喋りの延長のような無理のないフロウがまっすぐに言葉を届けてくる。レゲエ的なジャーゴンに頼らぬところにもその印象がさらに増すだろう。三木道山と渡り合う“Hands Up”や、CDのみ収録の“よってらっしゃい(Band Session ver.)”は現場で培ったキャリアの一端。アコースティックな“母さん”はその感情の高まりが共感を呼ぶ一曲だ。