今、オペラ界注目のソプラノ&テノールの夫妻、アイリン・ペレススティーヴン・コステロによるオペラ・デュエット集。これがそれぞれにとって、アルバム・メジャー・デビューとなります。共に「リチャード・タッカー賞」を受賞している実力派。この賞は過去にルネ・フレミングジョイス・ディドナートが受賞しているということからも存在の大きさがわかりますね。フィラデルフィアのアカデミー・オブ・ヴォーカル・アーツで学んでいる時に出会って結ばれたとか。オペラ界が待ち望んでいた、ゲオルギュー&アラーニャ以来の久々のビッグ・カップルの登場です。

AILYN PEREZ,STEPHEN COSTELLO 愛するデュエット Warner Classics/ワーナー(2014)

 ペレスは2010年のロイヤル・オペラの日本公演で『椿姫』を当日第2幕から急遽代演をしたことでご記憶の方もいらっしゃるでしょう。可憐さと野生感が備わった魅惑的な美貌と美声で各歌劇場での評価も高まっている素晴らしく華のある歌い手。一方、コステロは26歳でメトロポリタン・デビュー後、欧米各地のオペラハウスに立ち、艶やかで伸びやかな持ち声と豊かな表現力でファンを魅了する、将来が本当に楽しみな逸材。さて、そんな2人がまさに正真正銘の愛を体現したデュエットの数々がここには収まっています。曲目は『椿姫』『リゴレット』『愛の妙薬』といった名作オペラの中からの名二重唱からアメリカ出身の2人らしく『ウエスト・サイド・ストーリー』などのミュージカルの定番ナンバーも並びます。

 今伸び盛りの2人、これからの輝かしい活躍を期待しつつ、今はまずこの瑞々しくて聴き手も幸せにしてくれるような“愛いっぱい”のアルバムをご堪能下さい。尚、コステロは今夏、サイトウキネン・フェスティヴァルの『ファルスタッフ』で来日。フェントンを歌います。こちらも楽しみですね。