アニメ版「ピアノの森」のキャラクター、ソフィ・オルメッソンの演奏担当で知られる彼女のピアノをもっと聴きたいと思わせていたところへ現れたデビュー盤は、ソリスト活動と共に実践している歌劇場でのコレペティの蓄積をも背景に感じさせる、実に趣き深いコンセプト・アルバムだった! リストがシューベルトの歌曲を編曲した、いわばリード・トラックと、シューベルト最晩年のピアノ曲を除くとすべて彼女が独奏用に編曲。“ジークフリート”からは指導動機が密集するさすらい人のエルダ召喚の場面を選ぶセンスのよさ! 聴きものは最後、マーラーの“告別”だ。王維「送別」原詩の箇所から現出する空間は、まさに優美の極み!