この一枚に編み込まれたリコーダーの音色に耳を委ねるここちよさは格別だ。と同時に、一人の作曲家が教育的理念を携えて探求を重ねたリコーダーという楽器の近現代史の一端が開示される。私たちにとって近しい楽器であることの由縁さえもほのかに懐かしく香るようだ。ルネサンス、バロックの様式を近代の息吹で洗い、そこから生まれる素朴さと玄妙な響きは、聴き手を清新な地点へ連れ出す趣がある。楽器の魅力に加えて想像力を柔らかく喚起するような、高橋明日香が奏でるあたたかで清らかな音色を軸に、名手が集う。リコーダーに詳しい方にだけでなく、音との出会いを広く啓く一枚として、作品集の開巻を特筆したい。