ポルトガル音楽といえば真っ先に思い浮かぶのはファドやポルトガル・ギターで、個人的に今も昔も郷愁や哀愁に溢れたどこか潮風感じさせる印象なんだが、このアナ・ルア・カイアーノによる初アルバムにはギターが無い。一切ない。哀愁は無いではないが潮風は吹かない。その代わりにシンセと生パーカッションを組み合わせた強烈なビートが全編に轟く。幼少期に親しんだというポルトガルの伝統音楽(民謡的なものだろうか)を主軸に、ループを多用し幾重にも音を重ねて立体的な音空間を構築、抜き差しによって巧みに緩急をつけていく楽曲は影響を語るビョークや、現行のアフロ~南米エレクトロともリンクする。