戸川純『TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY~』『昭和享年<初回生産限定盤/タワーレコード限定盤/クリアレッド・ヴァイナル>』が2026年3月25日(水)にタワーレコード限定で発売される。貴重なBOXセットの再プレスと名カバー集『昭和享年』の初カラーレコード化ということで、ぜひ手に入れたい2作だ。今回はBOXの制作にも携わったいぬん堂に特別寄稿してもらった。 *Mikiki編集部


 

戸川純『TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY~』

発売から16年、国内外で反響が広がるいま求められる〈物体〉

2009年に30周年を記念して発売された戸川純『TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY~』が再プレスされる。サブスク全盛のこの時代に再プレス? しかも9枚組のBOXを? 物体でしか感じられない存在感が今また求められているのか。発売から約16年という月日が流れて、世界が大きく変わったためだろうか。戸川純の国内や海外の反響を見るにつけそう思う。

戸川純 『TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY~』 テイチク(2009)

このBOXの企画段階から関わっていたが、こういう企画をやりたいとこちらから持ちかけたわけではなく、テイチクのディレクターからの発案だったと思う。細かい内容に関しては、色々と調整した記憶はあるので、これから書くことは制作ノート的なものが大部分になると思ってほしい。

 

ヤプーズ、ゲルニカ、東口トルエンズ……独自の世界を展開した濃密な4年

このBOXは、タイトル通り戸川純がテイチクに残した作品をまとめたものだ。時代で言うと、ヤプーズのデビューにあたる1987年から、同時期に再起動したゲルニカを経て、芸能生活10周年となるソロ作を発表した1989年まで(“バージンブルース”のシングル盤は1990年ではあるが)に加え、東口トルエンズが唯一の作品を発表した2005年、ということになる。期間としては約4年と短いが、9枚組BOXというボリュームからその濃密度が伺える。どの作品も、流行を追わず、独自の世界観を持っているので、今見聞きしても古びた感じはしないと思う。

収蔵内容は、1987年発表の記念すべきヤプーズの1stアルバム『ヤプーズ計画』をはじめとして、1988年発表のヤプーズの2ndアルバム『大天使のように』と続く。『大天使のように』は、本人がワーストアルバムに挙げているが、表題曲や“憤怒の河”など現在でもライブで演奏している曲を収録しているアルバムであり、ヤプーズのキャリアから外せない作品だ。しかし、オリジナルのアナログレコード & CDと1995年発売のQ盤シリーズのCDでしか聴くことができず(いずれも廃盤)、配信もされていないので、今回の収蔵は貴重だ。

ボーナストラックに“サンプルA”のライブも収録。ビデオ「ヤプーズ計画  LIVE & CLIP」からの音源ではあるが、CD収録はこの盤のみだ。元々は、𠮷川洋一郎氏のインスト曲に詞をつけたもの。その𠮷川氏は、本年1月16日にお亡くなりになった。ヤプーズ結成時からのメンバーで、“バーバラ・セクサロイド”“大天使のように”など、このBOX収録の曲のみならず多数の名曲を残してくれた。哀悼の意を表したい。

続いて再起動したゲルニカの2枚『新世紀への運河』と『電離層からの眼指し』。1988年発表の2ndアルバム『新世紀への運河』は、オリジナルCDのジャケットはマットな仕上がりで色が沈んで見えたが、このBOX収蔵のCDは、アートワークをオリジナルのアナログレコードから復刻したので、色がバッチリ出ていて凄く綺麗だ。豪華な8P歌詞カードもそのまま復刻した。

1989年発表の3rdアルバム『電離層からの眼指し』は、フランク永井のカバー“或る雨の午后”、初期から演奏されている“夢の端々”のリメイクや、8 1/2のカバー“戒厳令”のドイツ語バージョンなどが聴ける。それぞれのボーナストラックに、2002年に発表された『GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念完全盤~』に収録されていたデモ音源等を収録。配信はされていない。