伝統の中で変化を続ける吹奏楽コンクール
そして吹奏楽といえばやっぱりコンクール。今年の課題曲、委嘱作品は作曲家・酒井格によるものという点が注目であるが、2003年から続いた高校、大学、職場・一般の部が選択可能な5番(課題曲V)が昨年度からなくなったことも作用してか、今年は1曲に人気が集中するのではなく、各団体で選択曲の割れが目立つとの噂も。
また、今年の中高生の全日本吹奏楽コンクールは、栃木・宇都宮市文化会館大ホールで開催される。かつて普門館を目指し、普門館なき後は名古屋国際会議場を目指してきたわけであるが、これからは目指せ、宇都宮。吹奏楽は会場によって大きくサウンドの作り方を左右されるため、今後の連盟の会場選びにも注目したいところ。
高校野球シーズン到来! 今、野球応援が熱い
そんななかで現在、世間的な注目度が高く、筆者もどうしても気になってしてしまうのは、野球応援だ。CD『ブラバン!甲子園』シリーズは2007年から販売開始されており、テレビ中継や会場で耳にするだけでなく、音源で野球応援の熱量に触れた人も少なくないだろう。近年はその人気から、吹奏楽においても野球応援にフォーカスを当てた演奏会が多数開かれており、その代表格となる〈ブラバン!甲子園ライブ〉は2017年から開催されている。

最近ではヤクルト所属の奥川恭伸選手の復帰を感動的に祝福したOfficial髭男dism “宿命”が話題になった。今年から〈オーディオ高校野球〉の開始が発表されたり、そもそも野球は戦前からラジオ中継がなされていたりと、野球と音は昔から密接に結びついていたのだということも思い出す。
学校の野球応援に関しては、吹奏楽部の顧問が応援好きか否かという点も大きく作用する。筆者が高校時代は、コンクールがあるからと予選の応援に駆け付けられなかった。同じクラスのエースが目をきらきらさせながら「僕がバッターの時は桑田佳祐の“波乗りジョニー”がいいと思ってるねんけどどうかな?」と教室で相談してくれたあの時間、ずっと覚えているよ。あの曲を聴くたびに思い出して心がずきんとするんだよ……なんて今でも感傷的になってしまう。 結局、吹奏楽部の応援がなかった我が校の野球部は予選でベスト8まで勝ち進んだものの、第100回大会となる甲子園への切符を逃したのだった。
〈吹奏楽部〉じゃなくて、〈吹奏楽〉の話をしよう
そんな思い出話はさておき、だ! ここまで散々吹奏楽部の話をしてきたが、筆者がこれから語るべきだと考えるのは〈吹奏楽〉そのものについてだ。もうそろそろ、〈吹奏楽部〉だけではなく、〈吹奏楽〉 の話をしてもよいのではないか。
どの時代も熱心に吹奏楽を楽しんでいたつもりだったけれど、今思い返せば筆者が楽しんでいたのは〈吹奏楽部〉で、〈吹奏楽〉ではなかったのかもしれない。その一方で高校時代には個々人から出る音を信頼してくれる〈ゆるふわ顧問〉に出会い、吹奏楽そのものの楽しさを学んだ。
そんな経験から立ち上げた企画が、この連載〈もっと!吹奏楽〉。〈吹奏楽部〉の活動に熱心でありすぎるがゆえに楽器や音楽について思いつめて考えてしまうあなたにも、あるいは吹奏楽経験者であるがゆえに音楽をシリアスにとらえてしまうあなたにも、 音楽ってもっと楽しいものだよと伝えたい。現役吹奏楽人にも、かつてそうだったあなたにも、いや、〈吹奏楽って全然知らないけど気になる〉というあなたにも。この連載では吹奏楽をもっと面白がるためのコラムやインタビューをお届けしていく予定です!