梅田NU茶屋町店いちおし! 兵庫県明石市を舞台におくる、吹奏楽部の青春ストーリー

山本誠志 『宇宙の音楽 1』 講談社(2022)

 吹奏楽がテーマの作品といえば、「青空エール」「響け! ユーフォニアム」などがあるが、今最も推したい作品が「宇宙の音楽」。

 プロトランペット奏者の父をもつ主人公、宇宙零(たかおきれい)は5歳からトランペットを始め中学で吹奏楽部に入部。しかし、ある理由でトランペットから離れることになった零は吹奏楽部を退部してしまう。吹奏楽部がない高校に入学したはずの零の目の前に現れたのは――……。

「息が合う」って言葉は吹奏楽のためにあると思うんスよ
音楽を介して人が一つになっていくあの空間が好きや

 1巻でひときわ好きなセリフ。吹奏楽がアツいのは、決して一人では成り立たない究極の団体競技であること。一人ひとりの音がスコアに書かれている音を奏でることで、曲のパーツとなる。誰かが欠けるとそれは全く違う演奏になるからこそ、あの時のあのメンバーで演奏したあの曲はよかった……とかけがえのない一生の思い出になる。

 著者山本誠志先生自身も小学生の頃からブラスバンドで楽器を始め、中学からは吹奏楽部でクラリネットを演奏してきた経験者。当店で開催した1巻発売記念トークショー&サイン会では、山本先生、作中あとがきに登場するワカリヤ吹奏楽団より2名、当店スタッフの4名でクラリネットアンサンブルを披露。作中に登場する2018年課題曲“吹奏楽のための「ワルツ」”と“宇宙の音楽より6楽章「ハルモニア」”を特別ヴァージョンで演奏。店内が温かい音で包まれた。

 〈音の出ない漫画でいかに吹奏楽の素晴らしさを伝えるか〉にこだわっていると仰る山本先生。読んでいると音が聴こえてくるように感じるほど引き込まれるのが魅力だ。また、作中のセリフは関西弁。親しみのある距離感で誰もが楽しめる。個人的には吹奏楽経験者の大人にかなり刺さると思う。楽器から離れてしまっているそこのあなたも、読み終わった頃には現役時代が懐かしくて楽器が吹きたくなる。そんな青春が詰まった作品。

 


STORE INFORMATION
「宇宙の音楽」第2巻は7月中旬発売予定!
梅田NU茶屋町店のオリジナル施策を企画中です。
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山本誠志さんの直筆サイン色紙も展示中。