このワガママなグルーヴに要注意! ポップな喜怒哀楽を表現する期待のアップカマーが3枚目のEPをリリース!

 鮮やかな光を放つような歌声と衒いなくポップで心地良いサウンドをベストマッチさせるwagamama(ワガママ)は、〈Groovy Popバンド〉を称する新進の4人組。このたび届いたEP『EVER DANCING FLAMINGO』を聴けばわかるように、これは新人のクオリティではないのでは……と思ったら、バンドの中心人物はかつて東京カランコロンで活躍したいちろー(ギター)だった。

 2007年に結成されて独特のポップネスで注目された東京カランコロンは、2012年にメジャー・デビューも経験しつつ2020年に解散。それ以前から他アーティストのプロデュースやアレンジなども手掛けてきた彼は裏方として活動する一方(昨年は塩入冬湖のソロ作『大天国』を手掛けていた)、ソロ名義での曲作りも進めており、そのなかで出会ったのが“Do It Right”(2022年)にゲスト・ヴォーカルとしてフィーチャーしたシンガー・ソングライターのリョコ(ヴォーカル)であった。さらにはその音源に参加したベーシストのshizupi(元Chelsy)とドラマーの中江太郎(butterfly inthe stomach)とも意気投合する格好でバンドへと発展。こうして2022年5月に結成されたのがwagamamaというわけである。

wagamama 『EVER DANCING FLAMINGO』 蔵前レコーズ/Happinet Music(2024)

 結成年に『Strawberry Flavor Sick』をリリースし、2023年には堅調にセカンドEP『PINKY MAGIC SODA』を発表。通算3枚目のEPとなる今回の『EVER DANCING FLAMINGO』は、配信シングルの“オシマイ”“CHOCO POP”“無問題”という3曲に新曲“泣いちゃうけどさ”をプラスし、洒落たインタルードも添えて結わえたセンスが光る作品になっている。いちろーのトレンドを弁えたソングライティングとアレンジ、等身大の感情をニュアンスに富んだ言葉で表現にするリョコの歌詞とヴォーカル、それらを支える強力なリズム隊のグルーヴィーな演奏がひとつになる様は、メインストリームとインディー・ポップ、バンド・サウンドとダンス・ミュージックなどが肩肘張らずにクロスオーヴァーする現行ポップ音楽の流れをナチュラルに体現した4人独自の化学反応であり、それはまさしく〈Groovy Pop〉と呼ぶべきもの。今回はCDのみのボートラとして前作収録曲“うぇい”のアコースティック・ヴァージョンも収められていて、引き出しの数はまだまだ多そう。いずれはフル・アルバムにも期待したいところだ。

wagamamaの作品。
左から、2022年作『Strawberry Flavor Sick』(wagamama)、2023年作『PINKY MAGIC SODA』(蔵前レコーズ/Happinet Music)