沖縄県立西原高等学校マーチングバンドが2022年、〈音楽のオリンピック〉とも呼ばれる世界音楽コンクールで初のワールドチャンピオンに輝いた実話を基に、〈世界でただ一人の吹奏楽作家〉のオザワ部長が紡いだ小説。東京からやって来た一人の孤独な少女がマーチングに出会い、大切な仲間を得て成長し、やがて世界へと挑んでいく姿が、彼らと同じように泥臭く生きる大人達の姿とともに描かれた、途轍もなく熱い人間ドラマに終盤、何度も目頭を押さえる瞬間が……。沖縄の独特の文化や風土、戦争の歴史と爪痕、その中で育ってきた人々の生き様が、物語のもう一つの核として深く鮮烈な印象を残します。