Alice Nineとライヴ、アジア・ツアー
――Alice Nineにとってライヴ活動というのは、やはりCDを作るのとは違って特別なものですか?
ヒロト「完全にバンドの軸だよね」
――ライヴやってるのと録音しているのと、創作活動としてはどちらが楽しいですか?
虎「録音と言うか、CDを作るのはバンドを続けてきたらどんどん楽しくなってきた感じがします。自分がギター弾きはじめたのも、やっぱりどちらかと言うとステージに立ちたいって理由だったので。基本的にはかっこつけたいという、そういうのの延長なんで。結局それが音楽をやっていくと、楽曲制作の楽しみをどんどん知っていくと言うか。いまでは両方同じくらいのバランスで楽しめるようになっているのかな、という感じはしますね」
――特別なライヴの楽しみの中で、こういうところをお客さんにもわかってもらいたいという思いがあると思うのですが、ここを見てほしいという部分はありますか?
虎「楽曲のセットリストもそうですし、ステージとか照明も含め、すべてエンターテインメントとして受け取ってほしいなって僕は思いますね」
――先日のコニファーフォレスト公演は野外だったわけですが、どちらかと言うと色々制約もあったりしたと思います。当日も雨でしたし。とは言え、お客さんは幸せそうで。ライヴの力をすごく感じました。室内と野外ってやはり勝手が違う思いますが……。
ヒロト「機材面とか結構制約がありましたね。真夏の炎天下だと結構キツかったり……雨はびっくりしましたけど、そこはアジア・ツアーで鍛えられましたね」
――アジア・ツアー、そんなに大変でしたか。
ヒロト「何があってももう動じないと言うか」
――今回アジア・ツアーは初めてでしたよね。
ヒロト「初めてです。海外でワンマン・ライヴをすること自体が初めてだったので」
――海外のファンの方も多い印象ですが、今回のアジア・ツアーの映像を少し拝見したのですが、盛り上がりがハンパないですね。今回のアジア・ツアーのDVDは、みなさんもうご覧になられましたか?
ヒロト「まだ編集中ですね」
――先ほど鍛えられたアジア・ツアーということだったのですが、全般的にどんな感じだったのでしょうか?
ヒロト「まだできてない会場とかありましたね。小屋として。あとはもう空調が日本みたいに全然ちゃんときかない場所ばっかりだとか、日本と同じ規模でステージ・スタッフも一緒に連れて行ったんですが、当然勝手も違うし。そういう環境でやっていて慣れちゃったよね」
虎「うん」
ヒロト「レンタル機材が、まず会場入りして演奏できる状態じゃないっていう。入りした時点で何がない、何が壊れているとかそういうところから始まって、試行錯誤してやっと音出せる状況になって、みたいな。そういうレベルの会場が多かったんで」

――アジア・ツアーの期間は?
ヒロト「1か月半くらいですね」
――ずっとアジアに居たままですか?
ヒロト「1回だけ1週間だけ帰ってきて」
――ではずっとその期間ずっとアジアにいたということで、生活とかは困らない感じでした?
虎「困り果ててました(笑)」
――何に一番困りました?
虎「食べ物にみんな困ってましたね。とにかくマックってイメージすね。マックかケンタかって感じですね」
Nao「でも3日で飽きてたよね。さすがに」
ヒロト「沙我くんとか、スニッカーズしか食べてない1日があったりして」
虎「ちゃんとしたところで食べに行くといいんですけど、現地のお弁当とかだとちょっとキツイっすね」
将「クセが強い」
――食べ物が一番困ったんですね。
虎「あと飲み物とか。僕は冷たい飲み物が大好きなんですけど」
ヒロト「氷もね」
虎「飲み物が冷たくない。どれもこれも。コンビニ行っても冷蔵庫に電源が入ってなくて」
ヒロト「常温(笑)」
虎「氷は水がダメなんで。〈氷下さい〉って言うと〈ケガしたの?〉みたいな感じでビニール袋につめて持ってくる」
ヒロト「すごかったよね。ホテルで頼んだら雑にバケツに入れてきて」
――それで1か月半ってかなり厳しいですね。
虎「途中からそれに慣れてきていて、みんな順応性高いんだなって思いましたね。意外とそれぐらいのほうが具合悪くなる人いなくて」
ヒロト「将くんとか凄い気を使ってたよね」
――話をちょっと戻しますが、現地のお客さんの反応はいかがでしたか?
将「ものすごくアツいです」
ヒロト「やっぱり日本から離れれば離れる程、熱量は反比例して上がっている感じは正直しましたね」
――日本からのお客さんも? 基本は現地の方ですよね?
虎「思ったよりはいるなっていう感じはしましたけど」
将「上海、台北とか日本に近い場所はいました」
ヒロト「韓国とか」
将「それ以外はほとんどいませんでした」
――現地のお客さんはやっとAlice Nineが来た!!って感じでした?
ヒロト「本当にそうです。やっぱり日本の方が大きい会場でできますし、入る数も違いますけど、この人数でこんな声出るんだっていうくらい、声出てたりとか」
――海外に行って、アウェー感もなくAlice Nineとしてライヴできる感じだったんですね?
将「アウェー感を感じることは一度もなかったです」
ヒロト「逆に言うと、現状好きな人だけが来ているという感じです」
――海外のファンから見てみると、日本でツアーやってることが多いけど、現地でなかなか観ることはできないから、待ちに待ったという感じですね。向こうのファンの反応で、日本と違うなと思うところはありましたか?
将「バラードをみんなで歌う。日本ではあんまりやらないですね。海外だと凄いです。日本はバラードは静かに聞くっていうのがほとんどですが、向こうはシンガロングしたいっていう欲求があるんじゃないでしょうか」
――今回のアジア・ツアーで得られたものは大きいという感じですね。
将「確かに。(コニファーフォレストのとき)ボタボタボタって雨が降ってきたとき、アジア・ツアーがなかったらうろたえてたもん」
――アジアでも雨が多かったんですか?
ヒロト「室内なのに空調が効かなすぎて、あの時の雨くらい濡れてるみたいな状況が平気であったんで。ほんと脱水症状で。みんな」
――今後、Alice Nineとして日本以外……またアジアやそれ以外でツアーをしたいとお考えですか?
将「もともと、アジア以外にもヨーロッパ、南米とかで結構ニーズがあるって聞いていて。いきなり行くんじゃなくて、まずアジア。アジアも日本のなかの一国なので。世界への足がかりに、10周年のタイミングで行こうかっていうのが今回のアジア・ツアーでした。いい経験ができたので、またこれから行けるように努力したいなと思っています」
――海外のファンとしては楽しみにしていて良いということですね。なお、今回事務所を離れたということで、辞めるのには勇気が必要だったかと思いますが。
将「とても暖かく10年間育ててくださった事務所だったので、すごく大きな決断だったのですが、暖かい大きな家に守られているほど……そうですね、もっと冒険したい、もっと攻めていきたいと思った時に、10年と区切りが良かったので、何か実家を出る子供のような気分で自立することも必要なのかなというところだったので。僕たちは前向きな気持ちしかなくて。ネガティヴな気持ちは一切なかったので、それをこれからの活動で示していきたいと思っています。見守っていただきたいなと思っています」