クラブ・ジャズの出自を守りつつ、インスト音楽の楽しさを世に伝えてきた4人組が結成20周年! 代表曲の新録版を収めた『NOW』に煌めく、いくつもの奇跡とは?
「楽しいことにまっすぐに向かっていって、気付いたら20年経っていたという実感ですね。このメンバーで20年も音楽をやっているなんて想像もしなかったし、そういう奇跡的な面も含めて、ありがたいことだなと思っているところです」(MAKOTO、トランペット)。
往時のアシッド・ジャズやクラブ・ジャズへの憧憬を共通言語として、2004年に京都で生まれ、インスト音楽の楽しみと可能性を追求し続けたJABBERLOOPの20年間。青春が香る冒険心を満々に湛え、キャッチーなメロディーと溌剌とした演奏が輝くその音楽は、いま聴いてもとても瑞々しく、そしてとても自由だ。
「振り返ると、ジャンルに囚われたのはファースト・アルバム『and infinite jazz...』(2007年)だけかもしれない。クラブ・ジャズ好きに刺さりたくて、とりあえずピアノが綺麗に鳴っていて、踊れるビートで、みたいな。でもセカンドの『CHECK THIS OUT!』(2009年)になったら、もっといろいろやりたいというみんなの欲が出てきて……」(DAISUKE、サックス)。
「ロックやポップスのほうに入っていきたいから、その後の数年間は、ジャジーなものやクラブっぽいものは意図的に避けていたかも。〈脱クラブ・ジャズ期〉ですね。深夜じゃなくて昼間に行きたかった(笑)」(YUKI、ベース)。
「でもクラブ・ミュージックのいいところは残したくて、それこそ“シロクマ”みたいな曲は、4つ打ちのダンス・ビートでゴリゴリの曲を作ろうとした。〈クラブ・ジャズ・シーンから出てきたバンド〉という意識は失いたくないという思いはありました」(MELTEN、キーボード)。
そんな活動初期の楽曲を中心に、メンバー自身がセレクトして再レコーディングした20周年ベスト・アルバム『NOW』。吹奏楽やダンス・レッスン曲としていまや大人気の“シロクマ”、ライヴでの絶対のキラー・チューン“ソレソレ”をはじめ、自他共に認める代表曲が、新たなアレンジを身に纏ってずらりと並ぶ。
「全曲、無心で吹きました。たぶんみんなもそうだったんじゃないかな。演奏に迷いがないというか、アレンジも演奏も含めてすごく熱くて、人間臭くて。いいものが出来たなという感想です」(MAKOTO)。
「JABBERLOOPを代表するアルバムを一個挙げるなら、これかな?というものを、ついに作れた感じがしますね。『NOW』というタイトルの通り、過去の曲もいまの感覚で生まれ変わっていて、メンバーそれぞれがミュージシャンとして、人間として変化した部分が反映されていると思います」(MELTEN)。
「裏切りたいような裏切りたくないような、どっちの気持ちもあって、いい線を探した結果がこれやった。変えようとせんでも勝手に変わってしまうから、そこは抗わず、どれだけ作為的に変えるか?というところでいろいろ匙加減をした感じかな」(YUKI)。
先行配信された“Missing My Bird”は、中国語圏で絶大な人気を誇るラッパーのSoft Lipaと共作した“過程”とのマッシュアップ・ヴァージョン。さらに新曲“Another Sky”はパーカッションにギターを加えた、JABBERLOOP史上最高にキャッチーなメロディーが炸裂するポップ・チューン。20年を経てなお、バンドは飽くなき前進を続けている。
「Soft Lipaとの出会いも、大きなターニング・ポイントでしたね。彼とコラボしたアルバム『月光』(2010年)が台湾の金曲奨にノミネートされて、僕たちの知名度が一気に上がったので。いま、中国や台湾へ行ってもお客さんが集まってくれるのは、そのおかげだし、本当に奇跡的なことだなと思います」(DAISUKE)。
「JABBERLOOPらしさに溢れていて、ノリが良く前向きで賑やかな曲、というイメージで“Another Sky”は作りました。このアルバムのラインナップのなかでも埋もれないというか、むしろ秀でるような曲が必要だと思っていたので」(MELTEN)。
この秋はフェス出演を重ね、さらに中国、台湾、日本を回るリリース・ツアーへ。20年間のヒストリーをふまえて、真っ白な未来へ挑むJABBERLOOPの〈NOW〉を、このアルバムとライヴ現場で体感してほしい。
JABBERLOOPの近年の作品を一部紹介。
左から、2023年作『WAVE』、2020年作『CORE』(共にJUNONSAISAI)、2023年のサントラ『彼女たちの犯罪』(バップ)
メンバーのソロ作や参加作を一部紹介。
左から、POLYPLUSの2024年作『COSMIC』、岸本亮の2022年作『Solid State Outsider』(共にPlaywright)、ADAM atの2023年作『P.T.』(ビクター)、三宅伸治&The Red Rocksの2022年作『GOT TO BLUES』(Pヴァイン)
LIVE INFORMATION
JABBERLOOP『NOW』RELEASE TOUR
2024年12月14日(土)大阪・心斎橋CONPASS
2025年1月5日(日)Billboard Live YOKOHAMA