清々しく響き渡る七色のグルーヴは、ここに一本のトゥリーを生んだ――期待のインスト・バンドが送る待望のセカンド・アルバム!
カラーの違う3つの個性をぶつけ合い、日本のジャズ界に新風を吹き込んだファースト・アルバム『Three Primary Sounds』がヒットを記録したのは、約2年半前のこと。当初は〈ジャズ・ファンク・バンド〉などと紹介されることもあったThree Primary Colorsだが、精力的なライヴ活動を経て、より純粋に自由なイマジネーションを奏でるインスト・バンドとしての自己を確立。バンドのコンセプターでありギタリストの山城徹は「いまが一番自信がある」と胸を張る。
「僕が思うThree Primary Colorsの良さは、歌心のあるアプローチをしつつ、ジャジーなテイストが出せること。僕自身はSPECIAL OTHERSさんのようなジャム・バンド、toeさんのようなポスト・ロック、Jazztronikさんのようなクラブ・ジャズ系とか、いろいろ雑食で聴いているし、鍵盤のエミーノ(村田エミ)はジャズが好きで、ドラムのPiROはソウルやラテン・ロックが好き。3人の個性をしっかり出しながら、わかりやすくすることを意識してます」(山城)。
ファンキーなカッティングやメロディアスな速弾きを得意とする山城。右手でピアノやオルガンを、左手でシンセ・ベースを器用に操る村田エミ。1曲の中にいくつものリズム・パターンを盛り込んで一瞬も飽きさせないHiroyuki“PiRO”Nakayama――そんな彼ら待望のセカンド・アルバムが、美しい七色のジャケットに飾られた『Rainbow Tree』だ。ほとんどの曲が5分程度で、全体の印象はポップでコンパクト。後味は爽快だ。
「〈歌はないけど、歌が聴こえるでしょ?〉って感じ。楽器で演奏して心で歌っているというか、歌心がそれぞれの演奏に込められているので。わざわざインスト・バンドだと言わなくても、聴きやすいアルバムだと思うし、自分たちも満足してます。親の世代にも、J-Popを聴いてる人にも、いろんな人に届くんじゃないかな」(PiRO)。
「これからどんどん挑戦していきたいと思えるアルバムが出来たなと思ってます。歌が入ったり、サックスが入ったり、ベースが入ったり、さらに色が増えたこともあって、一曲ごとに雰囲気が全然違うので。いろんな場面で聴いてもらいたいし、生活の中の思い出になってくれるといいなと思います」(村田)。
ゲスト・プレイヤーには、“Ways”に甘く切ないヴォーカルをつけたHiro-a-key、“Rush of rain”にてクール&アグレッシヴなベースを響かせるYUKI(JABBERLOOP)、そして“Pink pursuer”で凄まじい熱量のサックスを披露する元晴(SOIL &“PIMP”SESSIONS)。いずれ劣らぬ快演の連発だ。
「3人とも一緒にやりたかったので、願いが叶って嬉しいです。“Pink pursuer”は僕が大学生の頃に元晴さんをイメージして書いた曲で、いつかコラボする時のためにとっておいたんですよ。それが実現して、僕のイメージを超えるサックスを吹いてくれたので。元晴さんのグルーヴに引っ張られて、一番ライヴ感のある曲になりましたね」(山城)。
他にもTVのニュース番組「news every.」でお天気コーナーのテーマに抜擢された“Space trip”や、MVも作られたリード曲“Spark”など、山城いわく「全部が推し曲、捨て曲なし!」という収録曲は、どれもジャズのフィールドを超えて羽ばたく可能性を秘めた曲ばかり。3人の育てる虹色の木は、果たしてどこまで枝を広げていくのか?
「メロディーが良い、リズムが良い、音色が良い。僕が考える音楽の三大要素をイメージして、ファースト・アルバムを『Three Primary Sounds』にしたんですけど、セカンドはそこから色が広がっていくイメージがあったので。僕が〈Rainbow〉という言葉を思いついて、それに合う言葉として、PiROやエミーノが〈Treeはどうかな?〉って」(山城)。
「七色に輝く僕らの想いが、たくさんの人の心に根を張れたらいいなと」(PiRO)。
「成長していくということでもあるしね」(村田)。
「タイトルもポジティヴなイメージで、すごく気に入ってます。いろんなシーンで、いろんな色に当てはめて聴いてほしいアルバムです」(山城)。