DEZERTが『傑作音源集「絶対的オカルト週刊誌」』を完成させた。今作は13年に及ぶバンドの軌跡を辿りながら、今年12月27日(金)に行われる日本武道館公演に向けた入門作という位置付けで作られた。2枚組となったその中身は全24曲中12曲(!)がリレコーディング、ほかに2024 Mixが2曲(“Call of Rescue”、“「君の子宮を触る」”)、新曲が2曲(“心臓に吠える”、“私の詩”)というスペシャルアルバムに仕上がった。過去と現在を繋ぐ最新のバンドサウンドがここには収められ、今作を聴けば間違いなく武道館を楽しめるだろう。通常のフルアルバムと変わらぬ、いや、それ以上の熱量と労力を封じ込めた渾身作について、千秋(ボーカル)にじっくりと話を聞いた。
パーソナルな本音が出た曲はライブのセトリに残っている
――今作は再録や新曲を含むベストアルバム的な内容ですが、資料には〈NEW ALBUM〉と書かれています。千秋さんとしてはどういう位置づけなんですか?
「う〜ん、難しいですね。ベストアルバムと捉えてもらってかまわないけど、ベストとは言っていない。まあ、どういう風に言われてもいいかなと」
――聴き手の判断に委ねると。今作は日本武道館公演に向けた入門作という側面もありますよね。楽曲選びはどういう基準で?
「レコード会社、スタッフ、メンバーと時間をかけて選びました。武道館って、どのバンドにとっても特別なものだと思うんですよ。本当は新しいアルバムを引っ提げて、武道館をやりたいんです。でもSORAくん(ドラムス)から〈ベストっぽいものを出してもいいんじゃない?〉と言われて、〈まあいいか〉と。最近知ってくれた方もいるし、主にライブでやる曲を中心に選ぼうと。そもそもギタリストが2015年に替わっているので、それも含めて良い節目になるかなと」
――当初は新作を出したい気持ちだった?
「2年前までは(笑)。でも今年1月にアルバム(『The Heart Tree』)を出しちゃったから。1年に2枚はちょっとキツイなと。だから、今作と『The Heart Tree』を聴けば武道館は楽しんでもらえるかな。
それは選曲にも響きましたね。作り手としてはマニアックな曲も入れたいんですよ。基本、僕が曲を作っているから、選曲に関してはあえて言わなかったです。客観的な方がいいと思ったから」
――なるほど。「ライブでやる曲を中心に」とおっしゃいましたが、ライブのセットリストに残り続けた曲にはどんな特徴があると考えてます?
「僕は熱いことを言ったり、人生観を語ったりするアーティストが好きじゃないんですよ。だけど……僕がパーソナルに思ったことや本音が出ている曲は残ってますね。歌詞はパーソナルな部分に近いものが多いから。それで“胃潰瘍とルソーの錯覚”とかは入れたくなかったんですよ。物語チックで。僕の頭の中で作った曲だから。そこはメンバーやスタッフの意見を汲みました」
――パーソナルな歌詞の方が聴き手に刺さる?
「刺さっているかわからないけど、僕らが熱を込められる。10人、1000人、1万人だろうが、こういう思いを共有したい!という気持ちがあれば人数は関係ないじゃないですか。そういう曲は強いですよね」