2023年12月31日、〈V系って知ってる! -VISUAL ROCK COUNT DOWN 寸前GIG 2023-〉が東京・六本木のEX THEATER ROPPONGIで開催された。オーガナイザーのSORAのバンドであるDEZERTを筆頭に、キズ、甘い暴力、色々な十字架、鐘ト銃声、グラビティ、ビバラッシュ、Ashmaze.、CHAQLA.、HOWL、nurié、VIRGEというDEZERTと同世代ないし下の世代のヴィジュアル系バンドが出演し、〈想いをつないでいく〉ことを体現したこのイベント。当日の模様を伝えたレポートが到着した。 *Mikiki編集部


 

時代は移りゆく。ヴィジュアル系という単語が使われるようになって、はや30年以上。長い歴史の中ではこれまでにさまざまな出来事が起こり、たくさんのバンドたちが現われ、そのたびに刻々とシーンは変遷を繰り返し、いつしか海外でもVisual-rock/Visual-keiとして認知されるようにもなって、気付けば今現在に至っている。

そんな日本固有のV系文化をより浸透させるべく、2022年末には日本武道館にて〈V系って知ってる? powered by MAVERICK DC GROUP〉と題されたイベントが開催され、その際にはDEZERTのドラマー・SORAがオーガナイザーとして大活躍することになったのはいまだ記憶に新しい。

そして、SORAはその時の貴重な経験を活かしたうえで、このたび〈想いをつないでいく〉ことをテーマに、自分たちよりも下の世代の有望なバンドたちや、同世代にして盟友バンドでもあるキズにも声をかけ、あらたに〈V系って知ってる! -VISUAL ROCK COUNT DOWN 寸前GIG 2023-〉と題したイベントを2023年の大晦日にEX THEATER ROPPONGIにて行うと決意したのだという。

なお、このイベントのタイトルはX JAPANがまだXだった頃に渋谷公会堂で行ったライブ〈Blue Blood Tour 爆発寸前GIG〉をオマージュしたものでもあるとのことで、その点でも〈想いをつないでいく〉姿勢は見事に貫かれているのは間違いない。また、去年は〈V系って知ってる?〉と疑問系だったところが、今年は〈V系って知ってる!〉に変化しているところからも、SORAの強い意思が感じられるではないか。

大晦日にバンドを集めての忘年会!的なものとは異なる、建設的未来志向を持った〈V系って知ってる! -VISUAL ROCK COUNT DOWN 寸前GIG 2023-〉は、つまるところ今の時代に必然性を持って行われた、ひとつの決意表明の場であったと言えよう。

 

CHAQLA.

スピリチュアル風味濃厚なバンド名にして、エキセントリックな要素をまじえた楽曲たちはどれも独特な雰囲気で、そればかりか公式サイトや作品アートワークのデザインはうさん臭さ全開。あげく、物販ブースに掲げられている看板には〈開眼闇市〉の文字……。

全方位的にトリッキーなアプローチを仕掛けているCHAQLA.だが、ステージ上における彼らのパフォーマンスはむしろ直球勝負で、ひたすらにガムシャラだったりもする。

「最後にやる楽曲は、未来について歌ってます。イメージしたものはいつか形になり、夢は必ず叶うと思います! ヴィジュアル系の未来に向けた、俺たちの〈BACK TO THE FUTURE〉!!」(ANNIE A)

この言葉を受けて演奏されたのは、昨年末に発売された1st EP『開放盤』の冒頭を飾る1曲。

3月から始まる〈nurié × CHAQLA. × MAMA. presents「漢上げ」〉でも、彼らは未来へと向かう力強い姿を見せてくれそうだ。

 

HOWL

機微の領域をも音と詞で美しく描きだす、繊細な感性と優れた手腕を持つHOWL。

彼らはSORAが今回のイベント開催に向けて自らライブハウスに足を運んでいた時に見出したバンドで、初めて観た時の印象は「音楽が純粋だなって感じた」であったという。

「〈疲れたらHOWL〉っていう素敵なキャッチコピーをDEZERT兄さんにつけてもらいましたが、昔から俺は疲れたらVISUAL ROCKを心の拠り所にしてました。生きてて自分は間違ってるのか?と思うような時も、VISUAL ROCKだけは味方をしてくれたんです」(真宵)

音楽に救われたことがある者だからこそ描ける深淵を、彼らは2月7日発売予定(サブスクでは既に配信中)のアルバム『PATHW●RD』でも表現してくれているが、今回のステージ上ではその中からリード曲“デルフィニウム”を初披露し、2月からのツアー〈間違い側の僕らが、死にたくないと言えるまで〉への期待も高めてくれた次第である。