ジャーニーの来日ツアーが話題を呼ぶ中、昨日10月23日に東京・日本武道館公演の1日目がおこなわれた。場内は満員。バンドはノンストップで全22曲を演奏し、アンコールはなし。2時間強の怒涛のパフォーマンスに8,000名のファンが酔いしれた。本日10月24日には最終日となる追加公演が開催され、大阪・横浜公演を含む計4公演で25,000名を動員する予定の大規模なライブだ。そんなツアーから昨日の公演のオフィシャルレポートが到着したのでお届けしよう。 *Mikiki編集部


 

ジャーニーの7年ぶり、通算12回目のジャパンツアー〈JOURNEY FREEDOM TOUR JAPAN 2024〉。初日10月19日のAsueアリーナ大阪、21日のパシフィコ横浜を経て23日、日本武道館に到達した。

午後7時ジャスト。定刻どおり客電が落ち、ニール・ショーンがステージに現れギブソン・シグネチャーでギターをかき鳴らし始めると、ジョナサン・ケインもキーボードの前に座りギターを追奏、聴き慣れたアルペジオが響き渡ると会場は喝采に包まれる。

アーネル・ピネダの第一声、「コンバンワ、ブドーカン、トーキョー!」。「♪Another night in any town~」と最初の1行を歌いだすと客席から歓声が巻き起こる。“Only The Young(オンリー・ザ・ヤング)”(1985年)だ。ジャーニー結成50周年を記念するジャパンツアーはスティーヴ・ペリー監修の最新リマスターも話題となった『Greatest Hits(グレイテスト・ヒッツ~永遠の旅)』の1曲目からのスタートとなった。

一気にボルテージが上がったまま間髪入れずに“Be Good To Yourself(トゥ・ユアセルフ)”(1986年)になだれ込んでいくと客席は大興奮。もはや黄金のセットリストの予感だ。

バンド加入から17年、日本でのお披露目からすでに15年の月日が経つボーカルのピネダはすっかりバンドのフロントマン、ジャーニーの〈顔〉だ。圧巻のボーカルにはさらに磨きがかかり、数々の名曲の言葉とメロディが抑揚をつけてなぞられていく。ハイトーンがマックスになった瞬間にクリアになるオリジナルボイスは「57歳という年齢とは思えない」、という常套句の次元を遥かに超えた歌唱だ。ピネダの横で嬉しそうにギターを弾きまくるショーンの笑顔も印象的だ。

栄光のキャリアを総括するかのように連続される演奏のなかで、時おり武道館を見渡しニヤリとするショーン。日本独特の反応、武道館の空気をこの夜も楽しんでいるようだ。アーティストや関係者は周知、武道館はステージ側から見ると1、2階スタンド席が壁のようにそそり立ち巨大なすり鉢の中にいるようで、自然なエコーが終始発生する。武道館の迫力のある一体感をこの夜も満喫しているかのようだ。

1982年、『Escape(エスケイプ)』ツアーの凱旋再演となったジャーニー初の武道館公演オープニングとなった“Escape(エスケイプ)”(1981年)や、日本から始まった『Frontiers(フロンティアーズ)』ツアーでのやはりオープニングだった“Chain Reaction(チェイン・リアクション)”(1983年)の時を超えた客席の好反応はわかりやすい。「わかっているよ」と言わんばかりに大きく拳を突き上げるファンの近くまでショーンが歩み寄り、ギターで呼応する旧友との再会ともいえるようなキャッチボールはやはり微笑ましく、その姿はアメリカ最強のロックバンドのリーダーとして、洋楽ファン不変の憧れのギターヒーローとしても力強い。

ジョナサン・ケインの流麗なピアノソロから“Open Arms(オープン・アームズ)”のイントロ演奏に流れていき、会場のあちこちからため息と歓声が交わるこの夜最も美しい時間は、ピネダがケインの前で熱唱する瞬間からハイライトを迎えた。客席のスマホのライトのなかで永遠のジャーニー・ザ・バラードが響き渡る。このまま時間が止まってくれればいい――筆者の後席の夫婦は寄り添って目に涙を浮かべていた。

気が付けば武道館では静かな合唱が起きていて、その歌声は“Faithfully(時への誓い)”まで続いて行く。ケインの「オーサカ、今夜も来てくれてありがとうー」に 「トーキョー、トーキョー(笑)!」と客席のあちらこちらから突っ込みが入っていたが、これは日本を知りつくしたベテランのもはやお約束の愛嬌だろう(天然ボケかもしれない……)。