[緊急ワイド]発掘!洋楽隠れ名盤・第2弾
知る人ぞ知るマスターピースのなかから、タワレコ・スタッフがオススメの一枚を選出!!!

 今年、ソニーの洋楽部門が始動した、ロック/シンガー・ソングライター/ソウル/ファンクのアルバムを中心に、隠れた名盤や定番作を廉価でリイシューする〈発掘!洋楽隠れ名盤 Hidden Gems〉シリーズ。3月の第1弾に続き、このたび第2弾が登場です。今回は主に70年代にリリースされた39作がラインナップ。ジャニス・ジョプリンやボブ・ディラン、フィービ・スノウらの作品に加えて、アル・スチュワートの73年作『Past, Present & Future』 、ゲス・フーの70年作『American Woman』 、ブラッド・スウェット&ティアーズの74年作『Mirror Image』など日本初CD化の8タイトルも含んでいます。今回も、タワーレコードのスタッフ15名が推しの一枚をチョイス。このなかから、あなたのお気に入りもきっと見つかるはず! *bounce編集部


 

SWEET THURSDAY 『Sweet Thursday』 Tetragrammaton/ソニー(1969)

ジェフ・ベックやローリング・ストーンズなどに参加したキーボード奏者ニッキー・ホプキンス率いるスウィート・サーズデイの唯一作。手練れのセッション・ミュージシャンが集まった本作は、伝統的なブリティッシュ・サウンドを志向。退廃的で弛緩した讃歌を堪能できる。リリース年にレーベルが倒産して、コマーシャルな成功は得られなかったが、不遇を感じさせない暢気な彼らの評価は昨今高まっている。パルプやアンナ・カルヴィらに受け継がれたイギリス特有のスマートでロマンティックな美学を感じさせつつ、フォークやサイケの文脈でも重要な一枚。 *商品統括部・山中 旭

 

THE GROOP 『The Groop』 Bell/ソニー(1969)

LA出身の4人組ソフト・ロック・グループによる唯一の作品。69年に結成後、すぐ解散したというのもあり、ほとんど市場に出なかったLPは極めて希少性が高いです。トキシー・フレンチがプロデューサーを務め、ボブ・トンプソンがアレンジ、レッキング・クルーが演奏と磐石の布陣に支えられています。なんとも言えない翳りと多幸感を併せ持つ流麗な男女混声や、絶品と言いたいソングライティングとグルーヴは、このジャンルの究極形とも言える完成度。クレイロ“Add Up My Love”のようなヴィンテージ感のあるポップスが好きな方にも刺さるのではないでしょうか! *渋谷店・熊谷慶知

 

HARRY NILSSON 『Nilsson Sings Newman』 RCA/ソニー(1970)

フレッド・ニールでも知られる“Everybody’s Talkin’”などヒット曲の数々を書き、ビートルズからも寵愛を受けたシンガー・ソングライターの5作目。「トイ・ストーリー」でおなじみなアメリカの良心、ランディ・ニューマンの名曲群を、敬愛を込めて歌う。ジャケからして古き良きアメリカ的哀愁が漂ってくるが、胸を打つのは何より甘い歌唱。ランディのピアノをバックに多様な楽器をみずから操り、鮮やかな多重録音コーラスを伴った滋味深い歌心がシンプルゆえに際立つ。柴田聡子やクレイロ、ビッグ・シーフの近作を好むリスナーに〈これもぜひ〉と差し出したい一枚。 *Mikiki編集部・天野龍太郎

 

THE TOKENS 『Both Sides Now』 Buddah/ソニー(1970)

1955年の結成当初はニール・セダカも在籍したヴォーカル・グループ、トーケンズ。70年発表、時代の空気を放つ今作はジョニ・ミッチェル“Both Sides Now”で始まり、作品のトーンを決定付けるレモン・パイパーズ“Green Tambourine”、ビーチ・ボーイズ“Don’t Worry Baby”などが続く。邦題の〈ライオンは寝ている〉が有名“The Lion Sleeps Tonight”や“Tonight I Fell In Love”などグループが60年代に出したヒット曲のセルフ・リメイクは当時のLPだとB面に収録。ハーパース・ビザールなどのソフト・ロック好きから、日本のThe Pen Friend Clubのファンまで。 *神戸店・寺本将巳

 

JERRY WILLIAMS 『Jerry Williams』 Spindizzy/ソニー(1972)

“Forever Man”をはじめエリック・クラプトンに多くの楽曲を提供したソングライターとして、その名を知った人にもぜひ聴いてほしいソロ名義でのファースト・アルバムであり、スワンプ・ロックの傑作。ニッキー・ホプキンス(こちらもリイシュー熱望!)の演奏が印象に残る“Words”“Love Letters”などを筆頭に、泥臭くも人懐っこい歌声、滲むブルースの哀感を堪能できます。派手さより味で聴かせる……という点では、ザ・バンドやリトル・フィートはもちろん、ブラック・キーズ好きにもオススメ。ボブ・ディラン、プロコル・ハルムのカヴァーも素晴らしい。 *商品統括部・廣川 奏

 

EARTH,WIND & FIRE 『Head To The Sky』 Columbia/ソニー(1973)

“September”を親から教えてもらい、時を経て何気なく聴いていたラジオでEW&Fと再会。ディスコ~ソウルってこんなに格好良かったっけ……!?と惚れ直した4作目。73年にリリースされ、アル・マッケイ(ギター)とアンドリュー・ウールフォーク(サックス)が加入し、黄金期のメンバーが揃ったという、バンドとしても大きな転機となった作品。“Evil”の多幸感はその後のバンドが進む道を予感させ、ラテンやブラジル音楽の心地良さを纏った“Zanzibar”などの終わらない夏を感じさせるグルーヴもたまらない。スティーヴ・レイシーやFKJあたりが好きな方にもぜひ。 *渋谷店・宇野文美

 

STORIES 『About Us』 Kama Sutra/ソニー(1973)

NYを拠点に活動したバンドの2作目。本作のリリース直後にUKのファンク・バンド、ホット・チョコレートの“Brother Louie”をカヴァーしたシングルが全米1位となり、以降アルバムにも組み込まれた。同曲が彼らのパブリック・イメージとなるものの、アルバムとしては前身のレフト・バンクから連なる繊細なバロック・ポップを継承した初作を経て、70年代的なアート・ロックにアップデート。唯一無二の個性を生み出した。しかし、中心人物だったマイケル・ブラウンが脱退。同年発表のサード・アルバム時には、ヴォーカルのイアン・ロイド率いるバンドへと再編成された。 *新宿店・中上雅夫