
ライブハウスに吹く突風を掴んで音を鳴らす
――1曲目の“昼でも星は光って”は、今回CDのみのリリースですが、唯一サブスクリプションサービスでも聴くことができます。この曲を作った時の話を聞かせてください。
有斗夢「ライブハウスの営業時間って、だいたい夜じゃないですか。だから僕の中でロックのライブって、夜に輝く星のようなイメージでした。でも、昼間に高校の軽音楽祭で観たあるバンドがすごく輝いていて、そこで概念が変わったというか、太陽の光という目に見えているものだけではなくて、そこにも星は変わらず存在しているという考え方が入ってきたことがすごく大きくて、そんな気持ちを歌詞にしました」
――〈突風を掴む少女たち〉、というフレーズがすごく好きで。それだけで絵が浮かんで奮い立ちます。歌詞全体を通しても、すごく勇気をもらえるストーリー性を感じるのですが、言葉選びのルーツは何ですか?
有斗夢「小説は好きなんですけど、歌詞については、何かを参考にするというよりは、自分の言葉で書くことを意識しています。
そのうえで、この曲は物語を作るようなイメージを持っていました。〈突風を掴む少女たち〉という言葉は、そのワンシーン、ライブハウスに風なんて吹いているはずがないのに突風が吹いてる感じ、その風を掴んで音を鳴らしているような臨場感を表現しました」
歪んだ魂をダイレクトに出したい
――“007”は一発録りのカッコよさ、フィジカルだからこそのリズムの揺れや疾走感、リフで持っていくスタイルやシンプルな言葉の繰り返しなど、ロックバンドならではのいいところが詰まっている曲だと思いました。
有斗夢「僕らの歪んだ魂をダイレクトに出したいというか、ロックバンドとしてのインパクトを求めた曲で、そこに乗せるのは難しい言葉じゃないなって。心の中にある言葉を削ぎ落として残った言いたいことだけをドカンと出したいと思いました」
あげは「この曲を録って音源のデータを聴いたときに、カッコいいを通り越して思わず笑っちゃったんです。〈こんなにバチバチに歪ませていいの?〉って。歌の入りとか特にそうで。エンジニアの中西さんが、こちらから何も言わなくても過剰なくらいに奏人心らしさを引き立ててくださったことが嬉しかったしおもしろかったですね。今作の中でもとりわけ気に入ってる曲です」
――有斗夢さんのベースも曲にハマっていますよね。おそらく意識的に音をあまり動かさず、直線的なフレーズになさっている。シンプルで直線的だからこそスリリングで、グルーヴもしっかりあって、ピックで弾くロックのベースならではのカッコよさを感じるのですが、好きなベーシストとなると誰ですか?
有斗夢「そうですね、この話の流れで思い浮かんだのはナンバーガールの中尾憲太郎さんです。シンプルで直線的なルートを弾くだけでめちゃくちゃカッコいい。それこそがいちばんだって思わせてくれるんですよね」
――ギターのカッティングにもゾクゾクします。あげはさんがプレイヤーとして影響を受けたギタリストは?
あげは「影響となるとアベフトシさんや田淵ひさ子さんのプレイは、そこに注目してずっと聴いていました。アベさんはカッティングもそうですし直アンプでめちゃくちゃカッコいい音を鳴らすじゃないですか。田淵さんは、音色のカッコよさや、〈そこでその音いくんですか?〉みたいな発想も大好きで尊敬しています」